2022年12月14日 防衛財源 裏付け不透明

岸田首相が提案した防衛力増強の為の増税について、15日に開かれた与党税制調査会は対象法人税、所得税、タバコ税の時期については明らかにせず、令和6年度以降の適切な時期とした。防衛の歴史的転換になる様な事案であるが、国民に対する説明が足りず、あまりにも拙速なプロセスに感じる。財源の裏付けが曖昧なまま与党内からも反発する意見が多数聞かれる。

五年間で43兆円の防衛費は現在の1.5倍になり、岸田首相は増税の他、歳出改革による削減や余剰金活用をあげている。これらの内、約1兆円を増税によって捻出するとの考えだ。増税を打ち上げての選挙はことごとく負けてきた歴史がある。来春の統一地方選挙を心配して責任論まで出る始末だ。

与党幹部からも 西村経済産業相「大胆な投資のスイッチを押そうとしてるときであり、増税については慎重であるべきだ」 高市経済安全保障担当相「どのように国防力を強化するのか知らされてないのに財源論が出たので戸惑った」とのコメントが噴き出している。岸田首相は自ら解散権を行使しない限り、暫く国政選挙が無いゴールデンタイムでタイミング的に増税は決めるがいつ、どのような内容では曖昧にしておくとの考えであろう。しかし、自民党内の政策取りまとめ役である萩生田政調会長までが財源に国債も選択肢と発言するなど、岸田首相の拙速な指示に党内の不満も高まり、年末年始に各選挙区で有権者と意見交換する議員達が年明け国会に戻ってからは尚更であろう。

岸田首相が増税について27年度に向けて段階的に進める方針を出したのは今月8日の事だった。この指示を受けて税調幹部は急いで税目と税率を決めた。財源は増税の他、税外収入を集めた防衛力強化資金、決算余剰金、歳出改革、3項目で11兆1千億円を確保との方針。この3項目に関しても無理くりに編み出した異例な財源に思う。 新たに創り出した「防衛力強化資金」は税外収入を集めて複数年度にわたり防衛費を賄うものである。独立行政法人の余剰金なども含まれ、財政投融資の特別会計の余剰金もあてにされる。決算余剰金は半分以上が国債の返済財源で残り半分が補正予算の財源である。これらを防衛費につぎ込むと、今後いっそう赤字国債に頼る事にならないだろうか。そもそもアメリカからどの程度の武器購入を勧められているのだろうか、納税者に丁寧な説明が必要である。

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