2022年4月21日 軍事利用可能な先端技術開発

国会で審議されている経済安全保障推進会議にて、先端技術にたいして「自由研究」がどこまで認められるのか議論になっている。
例えば人工知能AIなどは軍民共同開発を援助支援する場合、国の意向が強くなる傾向は否めないであろう。
研究者の多くは大学や企業に所属し民間側が中心的な役割を担ってきた経緯がある。先端技術の育成には民間との連携が必要であり、バランスを無視して成り立たないとの専門家の認識だ。
政府は「特定重要技術」として先端技術を資金面で支援する方針だ。条件として不当利用や安定利用が担保されなくなった場合、国家及び国民の安全を損なう恐れがある場合としている。 政府は「官民協議会」を立ち上げAI、宇宙、海洋、量子、実用化に向けて情報共有していくとの事だ。
何れにしてもこれらの研究は軍事にも民間にも転用可能な技術であり(デュアルユース)技術と言われている。
政府側の有識者会議メンバーには警察、海保、防衛の専門家が要望されているようだが、民間技術の収集の意図も感じられる。大学に於いては安全保障に関する研究に遠慮した姿勢も専門の研究者としては存分に研究できる満足感も得られ共有するメリットを得られる。

一方日本学術会議などは科学者が太平洋戦争に協力した反省を基に創立された経緯から、軍事研究には一貫して否定的な立場を貫いてきた。
実際の研究者達は今回の新たな枠組みに対してどの様に感じているの今後の動向に注目したい。
権限に於いて、官民協議会は研究に必要な資料協力を求める事が出来、研究者に対して求めに応じるべく努力義務が課される。また知り得た情報は研究者に対して国家公務員と同じ守秘義務が求められる。政府は5000億円規模の基金を目指して補正予算で2500億円を確保した。
ロシア・ウクライナ紛争を始め世界的に不安定な状況を勘案すれば政府の要望は理解されやすい社会環境はある。しかし、研究の現場からは資金的な援助が多くなれば様々な政治的な制約、要望が生まれて、本来の自由な研究活動が歪められる懸念や守秘義務の範囲も基準が曖昧との指摘も一部からは出ている。
日米安全保障のもと経済発展してきた日本は、今後のパラダイムシフトが感じられる世界的リスクに対し独立国として国民がどこまでリスクを許容出来るかを思案することが急務になる。

pagetop