2021年12月25日 振り回された地方 給付金10万円
岸田政権と公明党が選挙公約として来た18歳以下対象の(10万円給付)において、実際に対応する地方自治体の混乱と反発は給付自体の本質を分かりずらくした。
半分をクーポンにする案は当初から公明党を中心にした意見として進めていたが、自治体や民意の反発により現金給付も認めざるおえない状況へと変遷してきた。大阪市長の松井氏は(政府のメンツやプライド・・)と記者会見で苦言を呈していたが、各自治体の首長も同じ思いを持っていた方が多数であろう。そもそもは新型コロナ経済対策として、年内に現金5万円を給付して、年が明けて入学シーズンにクーポンで5万円分の制度設計であった。
中学生以下には児童手当の仕組みを利用して給付との考えだが、政府は現金すべてを給付するのは、災害や感染拡大などの不可抗力要因により、来年6月までにクーポン配布が困難な場合との条件を出した。多数の自治体がクーポン配布を懸念する理由は事務手続きの煩雑さ、何より配布される住民ニーズに則してないからであろう。
選挙の約束とは言え本来の趣旨からは本末転倒な感が否めない。経済対策なのか困窮する方々を支援するためなのかも曖昧なまま、まるで与党間の国対対策や来年夏の参議院選対策の様な穿った見方さえされる始末だ。
10万円の給付を現金とクーポンに分けたのは、昨年の特別定額給付(国民すべてに一律10万円給付)の概ね3割弱が消費に回り7割以上が貯金されたとの事に対する苦い経験からであろう。
一方クーポンの場合は作成費用や事務手続きで余計に967億円との試算が出ている。鈴木財務大臣は過去の事案と比較しても、とびぬけて過大な経費ではないとコメントしているが、コロナ禍で傷んだ中小企業や非正規労働者世帯にその印刷事務経費をあてた方が少しでも助かる方が増えるであろう。
今回の対象になる世帯に対して明確に把握出来ているのであるから、年末調整や税金控除などで対応することは出来なかったのであろうか。
そうすれば夫婦共働きで所得1800万円世帯の子供は給付され、所得1000万円弱の世帯の子供は給付されないアンバランスや、そもそも日本の所得平均が400万円台での、今回の所得制限値が適正なのかの疑問も払拭できると思うのだが。