2014年1月22日 読売 社説「名護市長選」「普天間移設は着実に進めたい」

「市長の権限で移設阻止は不可」
読売の社説に「名護市長選」「普天間移設は着実に進めたい」が書かれている。

「選挙結果にとらわれずに、政府は、米軍普天間飛行場の辺野古移設を着実に進めるべきだ。沖縄県名護市長選で、辺野古移設に反対する現職の稲嶺進市長が、移設の推進を訴えた新人の末松文信・前県議を破って、再選された。

1998年以降の5回の市長選で、最初の3回は容認派が勝利し、前回以降は反対派が当選した。民主党政権が無責任に『県外移設』を掲げ、地元の期待をあおった結果、保守層にも辺野古移設の反対論が増えたことが要因だろう。

公明党は、党本部が移設を支持しているのに、県本部は『県外移設』を崩さず、市長選を自主投票にした。党本部がこの方針を“黙認”したのは、移設を推進する与党として問題だった。

末松氏は、政府や沖縄県との連携を強化し、名護市の地域振興に力を入れる方針を前面に掲げた。だが、同じ容認派の前市長との候補一本化に時間を要するなど、出遅れが響き、及ばなかった。

昨年末に仲井真弘多知事が公有水面埋め立てを承認したことにより、辺野古移設を進める方向性は既に、定まっている。

そもそも、在沖縄海兵隊の輸送任務を担う普天間飛行場の重要な機能を維持することは、日米同盟や日本全体の安全保障にかかわる問題だ。一地方選の結果で左右されるべきものではない。

仲井真知事が市長選前に承認を決断したことは、そうした事態を避けるうえで、適切だった。

名護市長には、代替施設の建設工事に伴う資材置き場の設置などの許可権限があり、工事をある程度遅らせることは可能だろう。ただ、権限は限定的で、辺野古移設の中止にまでは及ばない。

稲嶺市長は、末松氏が集めた票の重みも踏まえて、市長の権限を乱用し、工事を妨害する行為は自制してもらいたい。

政府は今後、在日米軍の抑止力の維持と沖縄の基地負担の軽減を両立させるため、沖縄県と緊密に協力し、建設工事を加速させることが肝要である。

工事が遅れれば、市街地の中央に位置する普天間飛行場の危険な状況が、より長く続く。在沖縄海兵隊のグアム移転や県南部の米軍基地の返還といった基地負担の軽減策も遅れるだろう。

仲井真知事らが求める工事の期間短縮や、円滑な実施には、地元関係者の協力が欠かせない。政府は、辺野古移設の意義を粘り強く関係者に説明し、理解を広げる努力を続ける必要がある」。

「名護市長には、代替施設の建設工事に伴う資材置き場の設置などの認可権限があり、工事をある程度遅らせることは可能だろう。ただ、権限は限定的で、辺野古移設の中止までは及ばない。稲嶺市長は、末松氏が集めた票の重みも踏まえて、市長の権限を乱用し、工事を妨害する行為は自制してもらいたい」は、正論である。

稲嶺市長は、市長の権限を駆使して、辺野古移設阻止を目論むが、権限は限定的なものであり、不発に終わる。辺野古移設は、着実に進捗するのである。いざとなれば、市長の権限を政府は、法改正によって、制限できるからである。

問題は、「移設を阻止できる」と期待して、稲嶺氏を勝たした民意である。今後の辺野古移設進捗の事実によって、「騙された」「裏切られた」となり、稲嶺氏から離反する。投票前に、市長の権限で、移設阻止は不可能と分かっていれば。投票行動を変えたのに、である。末松氏の逆転も可能だったのだから、安倍政権・与党は、自信を持って、辺野古移設を進捗すべきである。

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