2013年12月29日 産経(阿比留瑠比氏)「対米考慮 不利益も覚悟」
「安倍・オバマとの信」
産経に阿比留瑠比氏が「対米考慮 不利益も覚悟」を書いている。
「靖国神社参拝は、安倍晋三首相にとってリスクを覚悟しての『賭け』だった。米国、中国、韓国…など関係各国との微妙な均衡の中でうまくかじを取り、昨年9月の自民党総裁選や同年12月の衆院選での『国民との約束』(菅義偉官房長官)を果たしたのだ。
この初冬、衛藤晟一首相補佐官がひそかに米国へと赴いた。目的は米政府要人や識者らと会い、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をはじめさまざまな日米間の問題について意見交換することだったが、同時に首相が靖国神社に参拝した場合の米側の感触を探る狙いもあった。
『思っていたより厳しかった…』。衛藤氏が直面したのは厳しい現実だった。日米外交筋は『米側には<オバマ政権はせっかく安倍政権を評価しているのにもったいない>という意見が多い』と指摘する。
実際、今回の首相の靖国参拝後、駐日米大使館は早速『失望』を表明した。これはホワイトハウスの意向だとされる。ブッシュ前政権時代の米国は、当時の小泉純一郎首相が6回にわたり靖国に参拝しても、ことさら批判したり参拝自粛を求めたりしなかったにもかかわらずだ。
『これがオバマ政権だ。靖国参拝の本来の趣旨や目的など原則的な話は受け付けず、ただ中韓との関係悪化はダメだと言う。修復はちょっと時間がかかる』。
同筋は嘆息する。沖縄県の仲井真弘多知事が普天間飛行場の移設先の辺野古埋め立てを承認したら、オバマ大統領から入る予定だったねぎらいの電話も吹っ飛ぶとみられる。
もともと外務省内では、靖国参拝は対中韓問題というよりも対米問題だとの共通認識がある。幹部の一人はあけすけに言う。『安倍政権は(順当ならば)まだ3年近くは続く。中韓と直ちに関係改善しなければならない事情はない。対話は当面遠のくが、だからといって日本側に不利益となることもない』。
いずれにしても、首相は利点も不利益も織り込み済みで参拝したのは間違いない。一つの宿題を果たしたが、今まで以上に外交手腕が問われることにもなった」。
結語である「いずれにしても、首相は利点も不利益も織り込み済みで参拝したのは間違いない。一つの宿題を果たしたが、今まで以上に外交手腕が問われることにもなった」は、正論である。
ブッシュ前政権時代の米国は、小泉首相(当時)が6回にわたり、靖国参拝しても、批判も参拝自粛要請も一切ない。オバマ政権は、真逆である。違いは、小泉・ブッシュと安倍・オバマとの信頼関係にある。「安倍・オバマとの信」はこれからである。17年ぶりに普天間基地の辺野古移設が、27日、ようやく動き出したが、安倍・オバマとの信頼関係構築の第1歩である。これにTPP交渉妥結が加われば、更に一歩となる。本丸は、集団的自衛権行使容認となるが。