2019年9月10日 産経「香港あす大規模デモ」「政府、集会制限条例発動も」

産経に「香港あす大規模デモ」「政府、集会制限条例発動も」が書かれている。

「逃亡犯条例改正問題をめぐり混乱が続く香港で31日、香港政府と中国政府に対する大規模な抗議デモが行われる予定だ。香港政府が一連の混乱を収拾するため、通信や集会を制限できる『緊急状況規則条例』(緊急法)を発動するとの観測が広がっており、民主派や若者たちは対決色を強めて 31日のデモを機に、香港・中国当局が厳しい対応に乗り出す可能性がある。

<民主派代表襲われる>

今回は香港島中心部から中国政府の香港出先機関、香港連絡弁公室までのデモ行進が予定されている。7月21日にはデモ隊が同弁公室を包囲し、中国の国章に黒い液体をかけるなどして中国側が激しく反発した。

警察当局は29日、民主派団体が申請したデモ行進を許可しないことを明らかにしたが、民主派などは強行する構えだ。民主派団体の代表は同日、レストランでバットを持った暴漢に襲われ、友人が負傷した。

31日のデモは、5年前の2014年8月31日に、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会が下した決定に対する抗議活動の意味合いもある。香港のミニ憲法『香港基本法』の解釈権を有している常務委はこのとき、17年に行われる香港行政長官選について事実上、親中派以外の立候補者を排除し普通選挙を骨抜きにする措置を決定。これに対し、若者たちが『真の普通選挙』の実現を求めて抗議活動を始め、『雨傘運動』(14年9~12月)に発展した。

緊急法をめぐっては、香港政府トップの林鄭月娥行政長官が今月27日の記者会見で、『あらゆる香港の法律を使って混乱を収める責任がある』と発言したことから民主派や若者たちの間で一気に警戒が広がった。

緊急法は英植民地時代の1922年に制定されたもので、行政長官とその諮問機関、行政会議が『緊急事態』と判断した場合、立法会(議会)の審議・決定を経ずに、『公衆の利益にかなう規則』を定めることができるとしている。デモなどの呼び掛けに利用されているインターネットなどの通信や、報道、集会、移動の自由などが幅広く制限できるとされる。

民主派は『香港の自由を奪うもので戒厳令に等しい』と強く反発しており、31日のデモでも導入阻止を訴える計画だ。

香港紙、明報は緊急法について、中国当局が人民解放軍や武装警察を投入する前の『中間的な方策』との見方を紹介している。

≪中国、最大級軍事パレード 10月1日≫

中国国務院(政府)新聞弁公室は29日に記者会見を開き、建国70周年を迎える10月1日の祝賀行事の概要を発表した。中央軍事委員会連合参謀部作戦局副局長の蔡志軍少将は、天安門広場周辺で実施する閲兵式・軍事パレードで『一部の先進的な兵器を初公開する』とした上で、過去最大級の規模になることを示唆した。

米中貿易戦争や香港の「逃亡犯条例」改正問題への抗議活動拡大など内憂外患を抱える中、習近平指導部は軍の威容を示して共産党中央の求心力を高めたい考え。蔡氏は『世界一流の軍隊』に向けて邁進する軍の新たな姿を示すとした。

習指導部による軍事パレードは抗日戦争勝利70周年の2015年と建軍90周年の17年に続き3回目。胡錦濤前国家主席と江沢民元国家主席は任期中に1回ずつ実施した。

15年のパレードでは米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の東風(DF)31Aや5B、17年には改良型の31AGが披露され米国への対抗意識が目立った。今回は固形燃料の移動式ICBMで『抑止力の切り札』(中国紙・環球時報)と位置づけるDF41が公開されるかが注目点だ」。

香港政府は、31日の大規模抗議デモの中止を求めたが、民主派は応じたが、若者たちは強行する構えだ。香港政府は通信や集会を制限できる「緊急状況規則条例」(緊急法)を発動する可能性がある。中国政府が人民解放軍や武装警察を投入する前の次善策となる。中国政府においては、第2の天安門事件回避が至上命題となっている。

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