2018年11月6日 産経「正論」宮家邦彦・キャノングローバル戦略研究所研究主幹 「中国の微笑は戦術的秋波だ」
産経の「正論」に宮家邦彦・キャノングローバル戦略研究所研究主幹が「中国の微笑は戦術的秋波だ」を書いている。
先週、安倍晋三首相が訪中し日中首脳会談を行った。本邦メディアの論調は大きく割れた。一時は最悪といわれた両国関係につき、朝日新聞社説は『ここまで改善したことを評価したい』、読売も関係改善を『首脳レベルで確認した意義は大きい』と書いた。日経は『正常な軌道に乗りつつある』、毎日も『それなりの成果が認められる』とし、東京ですら、日中の『不毛な歴史を繰り返してはならない』と結んでいる。
これに対し産経の主張は一味違った。首脳会談の成果だとする関係改善は『日本が目指すべき対中外交とは程遠い。むしろ誤ったメッセージを国際社会に与えた』と手厳しい。会談の成果をどう見るべきか。筆者の見立てはこうだ。
<前向きの評価は表面上の成果>
中国首脳の会談に失敗はない
2000年秋から3年半、北京の大使館勤務を経験した。そこで学んだのは『中国との首脳会談は成功しかない』ということだ。理由はいたって単純、中国側は不愉快なことがあると首脳会談そのものを中止するからだ。されば中国が失敗する首脳会談などあり得ず、中国各紙の前向き報道も当たり前なのだ。産経を除く主要各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われた、ある意味で当然の結果だと考える。