2018年5月9日 読売「政治の現場」「揺らぐ1強」「綻ぶ野党 政権手助け」

読売の「政治の現場」「揺らぐ1強」⑥に「綻ぶ野党 政権手助け」が書かれている。

「体力を消耗しつつある安倍内閣が、それでも支持率30%台後半で踏みとどまっているのは、野党の力不足も一因だ。

4月28日、新緑美しい東京・代々木公園で、連合のメーデー中央大会が開かれた。神津里季生会長は約4万人(主催者発表)の組合員を前に、厳しい表情で野党への苦言を呈した。

『与党はもちろん悪いが、何年間もバラバラ、ガタガタの野党にも、大きな責任がある』

連合は加盟者約700万人を擁する労働組合最大の全国中央組織だ。民主党による2009年の政権交代を後押しし、16年に維新の党などと合併して民進党に生まれ変わった後も、支援してきた。しかし、この日、立憲民主党の枝野代表、希望の党の玉木代表、民進党の大塚代表はいずれも来賓に招かれず、毎年恒例のあいさつもなかった。東日本大震災が起きた11年を除き、1989年の連合結成以降初めてだという。

<支持政党が立民、希望、民進に3分裂し、『安倍1強』を許している現状を連合が容認した、と受け止められるのは避けたい>

異例の対応には、神津の複雑な胸中もにじんだ。

メーデー大会2日前の26日、希望、民進両党は新党『国民民主党』の結成で正式合意した。来夏の参院選から逆算し、『1年前には選挙に向けて動き出したい』とする連合幹部の意向をくんだためとされる。

ただ、野党6党が学校法人『森友学園』への国有地売却問題などをそろって追及する中、希望、民進の両党執行部が足元固めを優先したことに、冷ややかな目を向ける向きは少なくなかった。新党への不参加を決めた民進党の安住淳・元財務相は27日、国会内で記者会見し、大塚を名指しで酷評した。

『野党が政府のチェック機能を果たすべき時に、新党作りにうつつを抜かしている感覚が理解できない』

衆院で野党第1党の立民も、新党とは距離を置く。大塚は『国民民主党と立憲民主党で<民主>連合になればいい』と秋波を送るが、枝野は『今の状況で選挙になったら、みんな<立民から出たい>と言ってくるはずだ』と周囲に漏らし、独自路線を志向する。

<3月末の2018年度予算成立と引き換えに麻生財務相の首を取る。一気に安倍内閣の総辞職に向けて攻勢をかける>

6野党は当初、そんな戦略を描いた。当てが外れ、手をこまぬいている。4月20日以来、国会で審議拒否を続けるが、野党内では『国会に出て追及すべきだ』と不満もくすぶる。

希望の細野豪志、長島昭久両衆院議員は4月27日、衆院本会議で働き方改革関連法案などの審議に臨み、公然と〝造反″した。長島は翌日、審議を拒否し続ける6野党は『政権批判一色の戦闘的野党』だとツイッターに書き込んだ。

欠席戦術の一方で、スキャンダル追及の野党合同ヒアリングは2月から通算83回を数える。元民主党参院議員で、鳩山内閣で官房副長官を務めた松井孝治・慶応大教授は『政権与党を経験しながら、報道公開で官僚をつるし上げる姿勢は、いかがなものか』とした上で、こう嘆く。

『政権担当能力のある野党の存在が必要なのに、展望がなく、安倍政権の延命を助けている』『安倍包囲網』は、むしろ、ほころびの方が目立つ。

<支持低調 自民の背中遠く>

読売新聞社の最新の全国世論調査(4月20~22日)では、立憲民主党が支持率10%で他の野党に水をあけていった。ただ、最近は横ばいが続く。2009年8月の衆院選で政権を奪取する直前、民主党(当時)は30%台の支持率を誇ったが、立民の支持率はこれに遠く及ばない。

最新調査で希望の党の支持率は1%、民進党は2%だった。両党は新党「国民民主党」の結成で、底上げを図りたい考えだ。新党関係者は『結党後の調査で支持率5%は欲しい』と語る。

自民党の支持率は、前回(3月31日~4月1日)の36%からほぼ横ばいの37%だった。2月調査で42%を記録した後、30%台で推移している。安倍内閣の支持率は39%で、前回の42%から3ポイント下がった」。

安倍内閣支持率が39%、自民党支持率が36%で、青木の法則では75%となり、危機ラインの50%を25ポイントも上回ったことは、朝日・野党の倒閣運動の失敗となる。野党第1党の立憲民主党の支持率が10%で低迷していることが全てである。09年8月の衆院選で政権を奪取する直前の民主党の支持率は30%台もあったのに、である。民意から政権担当能力なしと見透かされているからである。安倍晋三首相と枝野代表を比較すれば一目瞭然であるが。

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