2018年3月20日 読売 社説 「辺野古移設判決」「いつまで訴訟を続けるのか」

「翁長知事主導の法廷闘争頓挫」

読売の社説に「辺野古移設判決」「いつまで訴訟を続けるのか」が書かれている。

「司法による事実上の門前払いである。沖縄県は判決を重く受け止めるべきだ。法廷闘争に固執してはならない。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る訴訟で、那覇地裁が沖縄県の訴えを却下した。国が必要な許可を得ずに護岸工事を進めているとして、差し止めを求めていた。

判決は県の訴えを『裁判所の審判の対象とならない』と結論付けた。過去の行政訴訟で、『国や自治体が行政上の義務の履行を求める訴えは裁判の対象外』とした最高裁の判例に沿ったものだ。妥当な判断である。

県が求めた工事差し止めの仮処分申請も却下した。小野寺防衛相は判決を受け、『住民の生活環境に配慮し、移設工事を進めたい』と述べた。

政府は昨年3月、県の漁業調整規則に基づく岩礁破砕許可の期限が切れた後も、地元漁協が漁業権を放棄したことを踏まえ、『許可は不要』として工事を続けた。

県は口頭弁論で『(国は法令を)恣意的にねじ曲げた』などと主張したが、退けられた。

翁長雄志知事は『控訴したいと考えている』と語った。近く最終判断する。これ以上の不毛な対立は避けねばならない。

辺野古移設に関する国と県の訴訟は、今回が5件目である。国が埋め立て承認の代執行を求めた訴訟で、国と県は2016年3月に和解し、今後の訴訟での確定判決に従って『協力して誠実に対応』することを確認した。

最高裁は同年12月、翁長氏による埋め立て承認の取り消しを『違法』と結論づけた。今回の差し止め訴訟は、和解と最高裁判決の趣旨に反するものだ。

秋に知事選を控える翁長氏は、政府との対決姿勢を鮮明にして移設反対論を盛り上げる狙いがあるのではないか。

2月の名護市長選では自民、公明両党などが推した新人が、翁長氏が支援した現職を破った。民意は移設反対一色とは言えない。

辺野古移設は、普天間飛行場の危険性を除去しつつ、米軍の抑止力も維持する唯一の現実的な選択肢だ。昨年12月には飛行場近くの小学校に米軍ヘリの窓が落下した。不時着事故も相次いでおり、放置できない状況にある。

過去の訴訟で一時、工事が中断したことから、移設時期を『22年度以降』とする計画は遅れ気味となっている。政府は移設の重要性を丁寧に訴え、理解を得ながら着実に実現を図ることが大切だ」。

社説の主旨である「いつまで訴訟を続けるのか」は正論である。

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡る訴訟で、那覇地裁は沖縄県の訴えである「国が必要な許可を得ずに護岸工事を進めているとしての差し止め」を却下した。判決は、「裁判所の審判の対象とならない」との司法による事実上の門前払いである。最高裁の判例である「国や自治体が行政上の義務の履行を求める訴えは裁判の対象外」に沿ったものであり、県が控訴しても同じく門前払いとなる。

問題は、翁長知事主導の法廷闘争が、頓挫したことである。2016年12月の最高裁での翁長氏による埋め立て承認取り消しは違法との判決がすべてである。秋の県知事選での翁長氏勝利の切り札である工事差し止めの仮処分申請が封じられたことは大誤算となる。工事が進捗し、翁長氏の公約違反が明らかとなり、辺野古移設容認が民意となるからである。

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