2018年1月11日 日経「アベノミクス『採点』の2018年」「日銀総裁人事や財政健全化計画」「脱デフレ、政局を左右」

日経に「アベノミクス『採点』の2018年」「日銀総裁人事や財政健全化計画」「脱デフレ、政局を左右」が書かれている。

「6年目に入った安倍晋三首相の経済政策、アベノミクスは今年、最大の正念場を迎える。4月に任期切れとなる日銀総裁人事、6月の財政健全化計画の改定など様々な局面で総括と成果が問われる。首相は4日の年頭記者会見で、デフレ脱却に全力を挙げる考えを重ねて強調した。3選を狙う9月の自民党総裁選を控え、政局の行方を大きく左右する。

首相は記者会見で、アベノミクスを進めた5年間で有効求人倍率や名目国内総生産(GDP)が改善したことを強調。『日本経済は20年近く苦しんできたデフレから脱却への道のりを着実に前進している』と語った。

一方で物価は伸び悩み、デフレ脱却を宣言するには至っていない。実質賃金も増えず、景気拡大に実感が伴わない一因になっており、アベノミクスの急所となっている。

<物価2%はいつ?>

首相はまず、4月に任期が切れる黒田東彦日銀総裁の後任人事でアベノミクスの柱である金融政策の総括が求められる。

菅義偉官房長官は2017年12月の日本経済新聞のインタビューで、日銀の新体制の金融政策に関し『出口戦略はまだ早い』と強調。2%の物価安定目標を堅持する必要があるとの考えを示した。政権内では黒田氏を続投させ、大規模な金融緩和をアベノミクスのテコにすべきだとの見方が強い。

黒田氏が続投した場合でも、当初15年4月を想定していた2%の物価目標をいつ、どのように達成するのか野党が追及するのは必至だ。消費を拡大し物価を押し上げるのに必要な実質賃金の上昇も課題だ。首相が経済界に3%の賃上げを求める春季労使交渉は日銀人事の判断と同時並行で進む。

6月には経済財政運営の基本方針(骨太の方針)と合わせ、財政健全化計画を改定する。

19年10月に予定する消費増税の使途見直しを踏まえた措置で、20年から延期した基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の新目標を具体化する。アベノミクスを支える積極的な財政支出は、経済成長率をかさ上げしてきた。新計画は経済成長と財政再建をどう両立させるかが焦点となる。

<自民総裁選の焦点>

その先に控える秋の自民党総裁選では5年間のアベノミクスの是非自体が焦点となりそうだ。『ポスト安倍』をうかがう自民党の石破茂元幹事長はアベノミクスへの対抗軸を打ち出す構え。『大胆な金融緩和をこれから先どうするのか。おカネが金融機関に余るだけで誰も借りなければ何の意味もない』と批判する。

今秋までに物価や実質賃金がデフレ脱却を宣言できる状態にまで上昇するメドは立っておらず、総裁選で成果を指摘される可能性がある。

首相は生産性革命などデフレ脱却につながる政策の着実な実行をアピールする考え。4日の記者会見でも『働き方改革に挑戦する』と強調した。総裁選前に経済指標が落ち込めば、財政出動の誘惑に駆られる一方、財政健全化との整合性を問われるリスクがある。

秋以降の焦点は、19年10月の消費増税への対応だ。首相はこれまで消費増税を2度延期した。今回は教育無償化などに2兆円を活用する新たな経済政策を打ち出しており『ここまで踏み込んだら増税する』(菅長官)との姿勢に転じている。

首相はリーマン・ショック級の景気後退が生じた際は増税を延期する考えも示し、最終判断が注目される。増税延期となれば財政健全化は大きく後退し、日本の財政への信認は揺らぎかねない。反動減対策を講じ増税の影響を最小限にとどめる案も検討する見通しだ」。

安倍晋三首相がデフレ脱却宣言をいつ出すかである。消費者物価指数の上昇率1・8%で出す予定であり、自民党総裁選後の秋となるが。17年11月時点では0・9%。

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