2018年1月11日 朝日の社説に「南北朝鮮対話」「日米と共に事態打開を」

「圧力路線ありき」

朝日の社説に「南北朝鮮対話」「日米と共に事態打開を」が書かれている。

「北朝鮮の得意な『くせ球』というべきだろう。年明けとともに、これまでの強面から突然、対話の呼びかけに転じた。

最高指導者の金正恩氏による元日の新年の辞である。南北協議を提案し、2月の平昌五輪への代表団派遣を示唆した。

一方で核・ミサイル開発の強化も宣言し、米国には屈しない姿勢を鮮明にした。

韓国の文在寅政権は、提案を歓迎し、早ければ来週にも南北協議が開かれそうだ。2年近く断絶していた軍事境界線の直通電話はおととい、再開通した。

朝鮮半島問題は対話を通じて解決されねばならない。南北間の話しあいが再開すること自体は歓迎すべきことだ。

ただし北朝鮮の態度の変化には注意深い対応が欠かせない。韓国にだけ秋波を送り、米国を突きはなす。そんな姿勢からは、米韓の歩調を乱れさせようという狙いが透けて見える。

これまで対話を呼びかけてきた文政権にすれば、協議再開はそれだけで待望の進展と映るだろう。だが、過大な評価に走って浮足立つのは禁物だ。

喫緊の課題は軍事的な衝突の回避であり、長期的には朝鮮半島の非核化である。日米中ロの周辺国からの支えなしには、安定的な解決はありえない。

韓国政府はそれを忘れず、とりわけ日米との情報交換を密にして対話に臨む必要がある。

金正恩氏は新年の辞で、地域の緊張を緩和して平和的な環境を整えるべきだと述べた。その通りだ。だが、国際社会の声を無視して挑発を続けたのは北朝鮮にほかならない。危機を和らげる意図が真剣ならば、少なくとも大陸間弾道ミサイル発射の動きを止めるべきだ。

北朝鮮に対する国連制裁は厳しさを増している。石油精製品の密輸など制裁逃れが散見されるものの、国際社会はかつてないレベルで安保理決議の順守に動いている。

その実際の効果がどう表れるかは未知数だが、金正恩氏としては心穏やかではないはずだ。ことしは建国70年を迎える特別な年だけに、米韓軍事演習の中止など、国内向けに誇れる成果を渇望しているだろう。

決して容易ではないが、韓国政府にはそんな北朝鮮の足元を冷静にみすえつつ、南北対話を非核化に向けた第一歩とするような巧みな外交を望みたい。

日米は、韓国への後押しを惜しんではならない。たとえ表向きであれ、北朝鮮が軟化姿勢に転じた動きを逃さず、やがては日米との対話にも広げさせる結果と工夫が求められている」。

社説の主旨である「日米と共に事態打開を」に異論がある。北朝鮮の『南北朝鮮対話』の狙いは、日米主導の圧力路線からの韓国の離脱であり、対話路線への転換である。北朝鮮国際包囲網の最も弱い環が狙われたのである。日米主導の圧力路線が奏功している証左である。

問題は、金正恩委員長は白旗を挙げる寸前まで追い込まれていることである。斬首作戦を含んだ米韓合同演習を最も恐れており、その中止が南北対話の核心となる。米国が文政権にかんぬきをかけるのは必至である。社説では「韓国への後押しを惜しんではならない」と書いているが、真逆である。議題は、平昌五輪参加についてのみに限定すべきであり、ブレーキをかけるが筋となる。金正恩委員長がトランプ大統領に白旗を掲げるまで圧力路線ありきである。

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