2017年11月15日 東京 社説「米韓首脳会談」「対話の道開く機会に」

「圧力路線が奏功、9月15日以来ミサイル発射なし」

東京の社説に「米韓首脳会談」「対話の道開く機会に」が書かれている。

「日韓両国を歴訪したトランプ米大統領は、北朝鮮への圧力路線を維持する一方、対話の必要性にも言及した。これ以上の緊張は望ましくない。この機会に対話実現に向けた道筋を探るべきだ。

トランプ氏は、日本と韓国での首脳会談を通じ、北朝鮮に対して、「最大限の制裁と圧力」で臨む方針を確認した。

この合意に前後して、日本と韓国が対北朝鮮独自制裁を発表した。トランプ氏も韓国国会での演説で、『北朝鮮は米国を試そうとするな』『北朝鮮は楽園ではなく地獄だ』などと批判した。さらに最高指導者の金正恩(キムジョンウン)氏を『暴君』『独裁者』と呼んだものの、言及は比較的短かった。

トランプ氏はかつて、金正恩氏を『ロケットマン』と揶揄(やゆ)し『核やミサイル開発を無謀に進め、国民を飢えさせている』と指摘した。そういった表現は、今回の日韓訪問では聞かれなかった。

逆に、韓国国会での演説でトランプ氏は、『挑発をやめ核開発を放棄するなら、北朝鮮の未来のために話し合える』と、対話の可能性に触れている。

実は、前日に行われた文在寅(ムンジェイン)大統領との首脳会談後の記者会見でもトランプ氏は、『北朝鮮が協議の席に着いて、取引するのが理にかなう』と呼びかけていた。

以前、対話は『時間の無駄』とも公言してはばからなかった同じ人物が、対話を否定しない姿勢を示したことはよい。

米朝間の緊張が続いているため、万が一、軍事的な衝突が起きた場合の莫大(ばくだい)な被害についての想定が、さまざまな機関から発表され、懸念の声が高まっている。

国際社会の声を聞かず、核、ミサイル開発を強行する北朝鮮の行動は厳しく非難されるべきだ。

しかし、これ以上緊張が高まれば、偶発的であれ、軍事衝突につながる危険性も否定できない。

北朝鮮の挑発行為も止まっている。九月十五日に、北海道のはるか上空を越える『火星12』を発射して以来、ミサイル発射はない。

『非核化交渉を夢見てはならない』(四日の朝鮮中央通信)と、核を巡る交渉を拒否する姿勢は示しながら、トランプ氏のアジア歴訪での発言や、関係国の反応を見極めようとしているのだろう。

北朝鮮の核問題は複雑な背景と長い歴史があり、圧力だけで解決できるとは思われない。外交交渉の糸口を探る努力を、本格化させる時期に来ている」。

社説の主旨である「対話の道開く機会に」は、正論である。トランプ大統領が韓国国会での演説で「挑発を止め核開発を放棄するなら、北朝鮮の未来のために話し合える」と対話の可能性について言及したからである。前日の米韓首脳会談後の記者会見でもトランプ大統領は「北朝鮮が協議の席に着いて、取引するのが理にかなう』と呼び掛けていた。

問題は、北朝鮮の金正恩委員長が対話に応じるか、である。9月15日の北海道上空を超える「火星12」の発射以来、ミサイル発射はない。まして今3隻の空母が配備されているから、当面発射はできない。金正恩委員長が最も恐れる斬首作戦回避のためにも、対話に応じざるを得ない。圧力路線が奏功しての対話への道が開ける好機である。

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