2017年10月29日 朝日「続投を望まない51%なのに、与党圧勝」

朝日に「続投を望まない51%なのに、与党圧勝」が書かれている。

「朝日新聞の世論調査で、内閣支持率と不支持率が並び、安倍晋三首相の続投を『望まない』との回答が51%にのぼる中で、安倍政権にとっては決して順風とは言えない選挙戦。

閣僚経験者は『自民には投票するが、安倍さんは嫌いという人が結構いる』。首相に近い閣僚でさえ『演説では<安倍政権>と言わず、<安定政権>への支持を求めた」と漏らした。

首相自身も公示前、抗議活動やヤジを警戒して演説日程を非公表に。第一声もヤジを避けるように、福島市の田園地帯を選んだ。

今回の結果について、石破茂・元幹事長は22日、記者団にこう表現した。『内閣支持率が下がっているが、自民党が多くの議席を頂いた。アンビバレント(二律背反)なことが起こった』

勝因はなにか。一つは小池百合子・東京都知事率いる希望の党の失速だ。臨時国会冒頭での衆院解散は、野党勢力の混乱に乗じた不意打ちの側面が強かった。前原誠司氏が民進党代表に選ばれた直後、幹事長候補にスキャンダルが発覚。共産党との選挙協力をめぐり民進党から離党者が続出していた隙を突いた。

だが、小池氏が新党を立ち上げると状況が一変。東京都議選で吹き荒れた小池旋風に与党はおびえた。小池氏の結党表明2日後に開いた自公の幹事長らの会談では目標議席を『与党で過半数の233議席』と置いた。前回2014年は解散直前に自公が掲げた目標は『与党で270プラスアルファ』。低めの目標を、与党幹部は『それだけ小池新党は脅威だからだ』と解説していた。

しかし希望の党は失速。自民党幹部は『首相が一番嫌われていたが、小池さんが追い抜いて首相は2番になった。小池さんに感謝しないといけない』と語る。加えて、野党分裂が自民の勝利を後押しした。

1人しか当選しない小選挙区では、他候補より1票でも多い候補が当選する。首相批判票が複数の野党候補に分散すれば、結果的に自民候補が当選しやすい。16年参院選では32の1人区すべてで野党統一候補を擁立し、11勝。調整しなかった13年は2勝29敗。野党候補一本化の効果は大きい。

麻生太郎副総理は選挙期間中、こう語った。『野党は一緒に戦っている感じもない。相手はバラバラ、こっちはまとまっている。それが差だ』

≪安倍政権以外を望む有権者、投票先 各党に分散、出口調査≫

朝日新聞社の出口調査で、今後どのような政権になるのがよいか尋ねると、『安倍政権が続くのがよい』は46%、『別の政権に代わるのがよい』47%で割れた。安倍政権の継続を望まない声が半数近くいる中での与党の勝利。その原因を分析すると、野党分裂の影響がみてとれる。

男女別で『安倍政権が続くのがよい』は男性が50%に対し、女性は41%と低め。年代別にみると、30代以下では『安倍政権』が多数派だが、50代、60代では『別の政権』を望む意見が半数を超えた。

ただ、『別の政権』と答えた人の比例区投票先は割れた。立憲34%、希望28%、共産13%、自民7%。

憲法9条を改正して自衛隊を明記することの賛否は、『賛成』『反対』とも46%。アベノミクスに対しても『評価する』48%に対し、『評価しない』も45%いた。だが、自民党の憲法9条改正に『反対』の層も、比例区は13%が自民に、選挙区では24%が自民候補に入れていた。野党が9条改正反対の有権者を十分引きつけられなかったことがうかがえる。アベノミクスを『評価しない』層も比例区で10%が自民に入れた」。

朝日の出口調査で「安倍政権が続くのがよい」46%、「別の政権に代わるのがよい」47%と拮抗したが、別の政権にと答えた人の比例区投票先が割れた。野党が一本化しなかったからである、与党圧勝は必然である。

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