2017年8月13日 日経に「ICBM実戦配備 現実味」「北朝鮮、核小型化に成功」「米分析

日経に「ICBM実戦配備 現実味」「北朝鮮、核小型化に成功」「米分析」が書かれている。

「北朝鮮が米本土を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実戦配備へアクセルを踏んでいる。米紙は弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の生産に成功したという米当局の分析を報じた。核弾頭の小型化は核ミサイルの準備が大きく進むことを意味し、周辺国の脅威が一段と増す。

『北朝鮮がICBM級を含む弾道ミサイル向けの核兵器を製造している』。米紙ワシントン・ポストによると、米国防総省の国防情報局(DIA)は7月28日付の報告書でこう分析したという。保有する核弾頭も最大60発と見積もった。米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)が4月に試算した最大30発を大きく上回る。

弾道ミサイルは搭載可能な核弾道の重さに限りがあり、長距離を飛ばすには軽量化が必要。短距離の『スカッド』で770キロ~1トン、中距離の『ノドン』は700キロ程度。長距離のICBMは200~400キロとさらに小さくなり、それだけ破壊力のある核弾頭は開発が難しい。

『小型化、軽量化、多種化された、より打撃力の高い各種の核弾頭を決心した通りに必要なだけ生産できるようになった』。北朝鮮は昨年9月の5回目の核実験でこう誇示。韓国や日本を狙うスカッドやノドンはすでに実戦配備。核弾頭の小型化技術を確保したとみる専門家が大勢だ。

ただ、ICBMに搭載できる小型の核弾頭が実現したとの情報はない。DIA分析だけでは核弾頭の小型化は即断できないと語る専門家もいる。北朝鮮はミサイルの飛行能力の面で性能を向上させてきた。7月28日に発射したICBM『火星14』は、発射角度を通常より高くする『ロフテッド軌道』で飛距離は998キロメートル。通常の軌道で発射すれば、飛距離は約1万キロメートルに達すると専門家はみる。平壌から米西海岸のロサンゼルスまでは約9500キロ、首都ワシントンは約1万1千キロ。米本土の多くの都市が射程圏内に入る。

核弾頭を増やし、小型化と飛距離の課題を乗り越えても、米国を標的にした戦略兵器としてICBMを完成し、実戦配備するには技術面で高いハードルがある。

<大気圏再突入技術が焦点>

ミサイルで宇宙空間に運ばれた弾頭は大気圏に再び突入する際、弾頭が空気と高速で接触することで高熱と圧力が生じる。それに耐えて落下しなければ弾頭は途中で燃え尽きる。この『大気圏再突入技術』を北朝鮮が獲得するには時間がかかるとの見方が多い。

専門家によると、7月のICBMの映像では大気圏に再突入した弾頭部が光ってから途中で暗くなったように見え、着水前に燃え尽きたとみられる。北朝鮮が弾頭を狙い通りの目標地点に打ち込む誘導技術を確保できているかも定かでない。

ただ、韓国外国語大学の尹徳敏(ユン・ドンミン)碩座教授は『祖父の代から開発に取り組んできた北朝鮮が、ICBMを完成させるのは難しくない』という。ワシントン・ポストも、来年末までに再突入技術を獲得する可能性があるとみる専門家が多いと指摘した。

核ミサイルの実戦配備には、核弾頭の製造技術を確保する核実験と、運搬手段となるミサイルの発射実験の両方が必要。北朝鮮は昨年来、数十発の弾道ミサイルを発射。7月にはICBMを2度試射した。今後は弾頭のさらなる小型化や爆発力の向上、量産化のために追加核実験に踏み切るとの観測が広がる。

8月下旬から定例の米韓合同軍事演習が韓国で始まる。9月9日には北朝鮮の69回目の「建国記念日」が控える。5回目の核実験は建国記念日の当日だった。核実験の強行は米国との対立を決定的にし、後ろ盾の中国とも確執が深まる。それでも『正恩氏が必要と判断すれば、計画に沿って着実に核実験やICBMを発射をする』との見方が支配的だ。

≪専門家の見方≫

<「米と対等」認識か>礒崎敦仁・慶応大学准教授(北朝鮮政治)

北朝鮮の軍や外交担当者、労働新聞などがどれだけ強硬なことを言っても、注目すべきは金正恩氏の発言だ。7月4日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験の際、正恩氏は『(米国に)今後も大小の<贈り物>を頻繁に贈ろう』と話していた。7月28日の時はそのような発言をしていない。7月の2回のICBM発射で、米国と対等にやり合える力を得たと認識しているようだ。

米国の姿勢も注目される。トランプ政権は当初、軍事的選択肢も明言していたが、その行使が難しいことを理解してきた。北朝鮮の核放棄は考えにくく、米国は核開発の凍結を求めるなど、中途半端な形で交渉を始める可能性がある。今の状況で北朝鮮に自制を促す材料をどれだけ提示できるかが重要だ。

<判断はまだ早い>李春根(イ・チュングン) 韓国科学技術政策研究院先任研究委員

核弾頭の小型化に成功したというのは、ミサイルに搭載して発射できる水準になったという意味だ。弾道ミサイルのうち中距離のノドンと短距離のスカッドは小型化をすでに達成したとみられる。韓国と日本は核攻撃の射程圏に入っている。ただ、ICBM用の小型化とは技術の差が大きい。北朝鮮がICBMに搭載可能な核弾頭を完成したと判断するにはまだ早い。様々な機関の評価が一致するまで見守らなければならない。

北朝鮮は技術面で核実験を追加実施する必要がある。水素爆弾やブースト型核分裂兵器と一緒に、より威力の大きい核弾頭を開発することも可能だ。小型化を進めるとともに、核弾頭の量産に向けて核実験をすることもあり得る」。

北朝鮮はICBM搭載の核小型化に成功したというが、未だである。大気圏再突入技術が未完成である。米本土射程のICBM実戦配備には来年末までかかるが。あと1年4カ月しかない。

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