2016年11月18日 日経「トランプショック」「世界の行方を聞く」 リチャード・ラカイエ氏(ステート・ストリート投資統括)「自由貿易に逆風警戒」

日経の「トランプショック」「世界の行方を聞く」で、リチャード・ラカイエ氏(ステート・ストリート投資統括)が「自由貿易に逆風警戒」を述べている。

――ドナルド・トランプ氏の大統領就任は世界の金融市場にどんな影響をもたらすでしょうか。

『新しい大統領となるトランプ氏は財政支出を拡大する見通しだ。その結果、米国の政府債務は増加するだろう。ただ財政政策以外の貿易や外交面の政策は不確実性が高い。投資家にとって特に深刻なのは貿易政策だ』

――なぜ貿易政策が重要なのですか。

『過去20~30年、グローバル貿易の拡大は世界経済に大きなメリットがあった。供給網(サプライチェーン)が広がり(効率化が)企業の利益を押し上げた。世界の需要も高まった。だがトランプ氏は環太平洋経済連携協定(TPP)からの撤退など貿易の自由化に逆行する発言をしてきた。反グローバリゼーションは企業の利益や世界の需要にマイナスの影響を及ぼしかねない。投資家として警戒している」

――特に影響が大きいのはどの業種ですか。

『影響を受けるのは自動車など一部の企業だけではない。現代はグローバル化が進み、あらゆる企業が影響を受ける。経済全体のリスクとなる。これまでの大統領選では鉄鋼やタイヤなど特定の業種が争点となることが多かった。今回は違う』

――トランプ氏勝利は投資配分の見直しにつながりますか。

『トランプ氏が実際にどんな政策を打ち出すのか。その結果、世界経済にどんな変化が生じるのかはまだ不透明だ。現段階では運用資産の投資配分を変更することは考えていない』

<株式配分少なく>

――金融市場は不安定な状況が続きそうです。現在の投資配分は。

『世界的に資産価格の変動が大きくなってきた。4月には安全資産である金の投資配分を多めにした。投資家のリスク回避姿勢が急激に強まった時に、資産全体の値下がりを相殺するためだ。一方、価格変動リスクが大きい株式は2015年後半から投資配分を少なめにしている。新興国は経済成長に不安があり、慎重に考えている』

――米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に変化はあるでしょうか。

『米国の雇用は改善しているが、物価は明確には上昇していない。イエレンFRB議長は年内は利上げに動く可能性が高いとみているが、その後の利上げベースは相当緩やかだろう』

――2017年の最大のリスクは。

『中国経済だ。債務が拡大しており、不確実性が高い。新興国に対する投資評価が慎重なのは、新興国に大きな影響を与える中国経済に不安を感じているからだ』」。

「2017年の最大のリスクは中国経済だ」は、正論である。だからこそTPPの早期承認を、である。TPPによる中国経済リスクの回避を最優先である。

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