2013年10月6日

朝日に「首相、成長を最優先」「増税の先に」「財政再建かすむ道筋」が書かれている。

「1日夕、首相官邸。安倍首相の記者会見は、さながら『アベノミクス』のアピールの場のようだった。首相は会見で1964年の東海道新幹線開業や東京五輪から切り出し、高度経済成長期を『頑張る人は報われる。皆がそう信じていた時代だ』と形容した。

さらに首相は『それから半世紀、日本は経済はオイルショック、バブル、バブル崩壊を経験し、15年以上続いた長い長いデフレを経験した』と続け、消費増税を表明。その後も『デフレから脱却し、再び成長軌道を取り戻すことなしには将来に向けた真に安定した社会保障制度は作れない』と強調。10分超の冒頭発言の多くを成長戦略の道筋づくりに割いた。

首相は、自民党内で消費増税に積極的な『財政再建派』と一線を画してきた。第1次内閣では規制緩和を税収増につなげる『上げ潮派』の塩崎恭久官房長官や中川秀直幹事長を起用。昨年末の際当番後も周囲に『税率を上げたら税収が増えるならバカでもできる。経済が上向いて税収を上げられれば、社会保障費だってまかなえるんだ』と漏らした。『消費税を上げなきゃいけない使命感なんか全然ない』とも語っていた。

来年4月の消費増税は昨年8月の民主、自民、公明の3党合意がベースだ。増大する社会保障費の安定財源を確保する目的で、ともに財政再建派の野田佳彦首相が自民党の谷垣禎一総裁とまとめた。当時無役の安倍首相は3党合意に関わらず、今の政権幹部も思い入れは少ない。首相側近は谷垣氏に2段階での税率引き上げの根拠を尋ねたが、『納得のいく説明を得られなかった』(側近)という。

財政再建派が環境を整え、上げ潮派の安倍首相が実現する――。そんな皮肉な巡り合わせが、増税の構図を次第に変質させた。

首相は何よりも増税による景気の腰折れを防ごうと、増税と経済対策をセットにするよう要求。財務省が5兆円超の規模感を示すと、インフラ整備を多く盛り込んだ。震災被災地の災害復旧▽東京五輪に対応する交通・物流ネットワークの整備……。この日の経済対策に、旧来の自民党が重視してきた『ばらまき型』公共事業が浮かび上がる。

首相はさらに上げ潮路線の本命・法人減税に照準を合わせた。復興法人税の1年前倒し終了、その後の法人実効税率引き下げにこだわった。結果、消費増税対策は上げ潮路線と自民党型財政出動が融合した。

それでも首相は会見で『法人対個人という考え方を私はとらない。企業収益が伸びていけば、雇用が増え、賃金が増えていけば家計も潤う』と強調。約250年前、長州藩が新田を開拓し塩や紙などの新産業を育成したとし、『志定まれば、気盛んなり』という幕末の思想家・吉田松陰の言葉も紹介。郷土・山口県ゆかりのエピソードを引き、消費増税をきっかけにアベノミクスを前進させる決意をにじませた。

強気の首相は最近、周囲にこうも漏らしている。『俺の経済政策のおかげで増えた税収なんだから、どう使うかは俺が決めるんだ』」。「首相はさらに上げ潮路線の本命・法人減税に照準を合わせた。復興法人税の1年前倒し終了、その後の法人実効税率引き下げにこだわった。結果、消費増税対策は上げ潮路線と自民党型財政出動が融合した」は、正論である。上げ潮派である安倍首相には、「消費税を上げなきゃいけない使命感なんか全然ない」。「俺の経済政策のおかげで増えた税収なんだから、どう使うかは俺が決めるんだ」となる

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