2016年10月27日 日経「2016米大統領選」「投票まで2週間」「クリント氏リード拡大」「一部世論調査で12ポイント差」「討論会『3連勝』『女性蔑視』」

日経に「2016米大統領選」「投票まで2週間」「クリント氏リード拡大」「一部世論調査で12ポイント差」「討論会『3連勝』『女性蔑視』」が書かれている。

「米大統領選は11月8日の投票日まで2週間に迫った。世論調査の支持率は民主党のヒラリー・クリントン前米国務長官(68)が優位を保ち、一部で差を広げる。共和党ドナルド・トランプ氏(70)の陣営は劣勢を認めながらも『逆転の可能性はある』とする。大統領就任から100日間の優先政策を発表し、最終盤で追い上げる構えだ。

米ABCテレビは23日、先週の第3回テレビ討論会後に実施した世論調査の結果を発表した。支持率はクリントン氏50%で、トランプ氏38%だった。その差は12ポイントに拡大した。13日の前回調査 4ポイントの差だった。

差が開いたのは、クリントン氏が直接対決のテレビ討論会で『3連勝』した効果や、10月上旬に発覚したトランプ氏による女性へのわいせつな表現と蔑視発言が主な要因だ。調査ではトランプ氏の女性蔑視発言に69%が否定的な回答をした。選挙結果の受け入れを明言しなかったことにも65%が同意しないと答えた。

有権者の性別でみるとクリントン氏が女性の支持で大幅にリードした。これまでトランプ氏寄りとみられていた男性でも優位になった。クリントン氏は学歴別で大卒者と非大卒者の双方でトランプ氏を引き離した。一方で非大卒の白人層に限るとトランプ氏がクリントン氏を上回っている。

主な世論調査を平均した米政治専門サイト『リアル・クリア・ポリティクス』の直近の支持率もクリントン氏48・0%、トランプ氏41・9%で、その差は6・1ポイントだ。

クリントン氏は7月末にトランプ氏の支持率を逆転してから一貫して優勢。直近でトランプ氏が最も差を詰めたのが9月18日の0・9ポイント。最近は差が開く傾向にある。クリントン氏は伝統的に共和党が強いジョージア州やテキサス州などでも追撃している。トランプ陣営の選対責任者は23日に『劣勢だ』と認めた。

ただ、世論調査の情勢分析には不透明な要素も残る。従来に比べてトランプ支持者は世論調査にまともに答える人が少ないとみられ、支持率は低く出やすいといわれている。現時点で支持率にどの程度の修正をかければ、正確な分析になるかは手探りの状況だ。

残り2週間、クリントン陣営は、激戦州を中心とした選挙戦を展開しつつ、野党・共和党が多数を占める連邦議会選(上下両院)のテコ入れを急ぐ。大統領選を制したとしても、今のように上下両院を共和党に握られたままでは、政権運営が難しくなる判断している。

トランプ氏も巻き返す構え。22日には激戦州のペンシルベニアで演説し、大統領に就任してから100日間の計画を発表した。来年1月20日の就任初日に『環太平洋経済連携協定(TPP)の枠組みからの離脱を表明する』と明言した。中国の為替操作国の認定や、オバマ政権の医療保険制度改革(オバマケア)の廃止も掲げた。

米国の通信大手AT&Tによるメディア大手タイム・ワーナーの買収合意については『買収を承認しない』と語った。ワーナーはCNNテレビを傘下に抱える。トランプ氏はCNNテレビを『クリントン氏寄り』と非難している。

≪トランプ氏支持、男性から根強く≫

米大統領選は男性の有権者だけが投票すると、共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)が圧勝する――。専門家がこんな予測をした。わいせつな女性蔑視発言が報じられて窮地に陥るトランプ氏は男性の過半数に支持されている。女性票を加えれば劣勢になり、ここにも米国社会の分断が表れている。

予測をまとめたのは選挙予想の的中率の高さで有名なネイト・シルバー氏。男性の投票でヒラリー・クリントン前米国務長官(68)が勝てるのは、リベラル層が多いカリフォルニア州などの西部とニューヨーク州などの東部が中心。獲得する選挙人はトランプ氏が350人と2倍近くを獲得し、当選ラインの270人を超える。

『スターなら(女性に)何でもやれる』と豪語したトランプ氏。党内外から厳しい批判を受けた。『建前をぶっつぶせ』と訴えるトランプ氏は、多くの米国男性にとってクリントン氏より魅力的に映るのかもしれない。

逆に女性だけの投票であれば、クリントン氏は圧勝する。獲得する選挙人は458人となり、5倍以上の大差で勝つという。シルバー氏は『トランプ氏が負けるなら、女性が反対票を投じたためだ』と分析している。

10月実施の世論調査9件を平均すると、男性はトランプ氏の支持率が7ポイント高く、女性はクリントン氏が20ポイント高い。『女性は男性より民主党候補を支持する率が高い』(アメリカン大のジェニファー・ローレス教授)。米大統領選の支持をめぐる男女差はここ半世紀で最大となりそうだ」。

米ABCTVの23日調査でクリントン氏は50%、トランプ氏は38%と13日の前回調査4ポイント差が12ポイント差に拡大した。問題は、選挙人獲得予定者が、13日の時点でクリントン氏が過半数の270人にあと10人の260人まで迫っていたことである。9の激戦州で競り勝ち、クリントン氏の圧勝となるが。

 

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