2016年9月4日 産経「新潟知事、出馬撤回」「柏崎苅羽、再稼働へ追い風」
産経に「新潟知事、出馬撤回」「柏崎苅羽、再稼働へ追い風」が書かれている。
新潟県の泉田裕彦知事が10月の知事選出馬を取りやめたことで、東京電力ホールディングス(HD)の柏崎苅羽原発の再稼働に向けたハードルが下がりそうだ。原子力規制委員会の審査が順調に進んだ場合、6、7号機は平成28年度内に合格する可能性があり、東電の経営再建は大きな節目を迎える。同原発を含む沸騰水型にまで再稼働が広がれば、政府のエネルギー政策にも追い風になる。
『新潟県と建設的な話ができるようになるかもしれない。(再稼働に向けて)先が見えるようになることは確かだ』。泉田知事の出馬撤回表明を受け、原子炉の運転が4年以上停止している柏崎苅羽原発の幹部は安堵感を隠せない。
泉田知事は東日本大震災後、『福島第1原発事故の検証と総括』を求めて柏崎苅羽原発の再稼働議論を封印。東電HDの広瀬直己社長が繰り返し新潟県に足を運んでも歩み寄らず、同意手続きを進めなかった。
今後、規制委の審査に合格し、新知事を含む地元自治体の了解を得られれば、ようやく再稼働が実現する。
東電HDは28年3月期、3年連続の最終黒字を達成したが、原発を代替する火力発電の燃料費が原油安で減少した影響が大きい。4月の電力小売り全面自由化で東京ガスなど異業種に一部の顧客を奪われ、経営環境はむしろ悪化している。
柏崎苅羽原発の再稼働は1基で年間1千億円前後の収支改善効果を持ち、東電HDの脱国有化には欠かせない。原発を『重要なベースロード電源』と位置づける政府にも懸案だった。
震災後に再稼働できたのは、九州電力川内原発(鹿児島県)などすべて加圧水型だ。福島第1原発と同じ沸騰水型はフィルター付きベントなど事故対策設備の設置が義務づけられ、審査に時間がかかっている。沸騰水型は主に東日本、加圧水型は西日本にあり、再稼働が西に偏る原因だった。
柏崎苅羽6、7号機が動かせれば沸騰水型で第1号になる。政府内では、『再稼働が全国に広がる転機になれば』(経産省関係者)と期待が強まっている」。
10月の知事選での4選出馬を目指していた泉田知事が急きょ取りやめたことにより、再稼働に前向きな全国市長会長の森民雄・長岡市長の当選が濃厚となった。柏崎苅羽原発6,7号機は年内に原子力規制委員会の審査に合格することから、17年の1月には再稼働の可能性が出てきた。全国で原発再稼働の動きが加速するが。