2016年8月17日 読売社説「伊方原発再稼働」「電力の安定供給に寄与する」
「ゼロリスク論を一掃せよ」
読売の社説に「伊方原発再稼働」「電力の安定供給に寄与する」が書かれている。
「電力の安定供給に欠かせない。確実に営業運転させる必要がある。四国電力伊方原子力発電所3号機が、5年4か月ぶりに再稼働した。15日にも発電を始め、来月、営業運転に入る予定だ。
昨年7月、原子力規制委員会の安全審査に合格した。福島第一原発事故を踏まえて厳格化された新規制基準に基づくものだ。10月には、立地する愛媛県と伊方町が再稼働に同意し、規制委による使用前検査が行われてきた。新規制基準に合格した原発の再稼働は、九州電力川内原発1、2号機と関西電力高浜原発3、4号機に続き、3か所目となる。
ただ、川内原発は10月から、定期検査のために順次止まる。高浜原発は裁判所の仮処分決定により運転停止に追い込まれている。年内には、伊方3号機が運転中の唯一の原発となる可能性がある。
四電は、再び『原発ゼロ』に陥ることがないよう、安定した稼働を実現してもらいたい。伊方3号機では『プルサーマル』が実施される。使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムにウランを混ぜたMOX燃料を使用する。ウラン資源の有効活用につながる核燃料サイクルが再び動き出す一歩となる。
本格稼働すれば、年250億円相当の化石燃料が節減できる。電気料金の値上げでしのいできた四電の経営改善や、温室効果ガス削減などに寄与するだろう。
無論、四電は、安全性向上への取り組みを緩めてはならない。伊方3号機の間近には中央構造線断層帯が走ることから、地震時の影響が指摘されてきた。細長い岬に立地しているため、重大事態が発生した際に、住民の避難が混乱するという声もある。
四電は、断層帯約500キロ・メートルが動くとの想定で設備の耐震性を強化し、非常用電源も拡充した。対策費は1700億円に上る。
愛媛県は、船舶で対岸の大分県に避難する計画を策定している。訓練を重ね、不十分な点は柔軟に見直すことが大切である。
懸念されるのは、司法判断による運転停止だ。反原発派の住民らが、広島、松山、大分各地裁に、伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を申し立てている。高浜原発の運転を差し止めた大津地裁の決定は、非現実的なゼロリスクへの固執が際立った。再稼働は、規制委の厳しい審査を経ている。司法の不合理な判断で、これ以上、国のエネルギー政策を混乱させてはなるまい」。
社説の結語である「再稼働は、規制委の厳しい審査を経ている。司法の不合理な判断で、これ以上、国のエネルギー政策を混乱させてはならない」は、正論である。
四国電力伊方原子力発電所3号機が5年4カ月ぶりに再稼働したが、反原発派の住民らが、広島、松山、大分の各地裁に、伊方3号機の運転差し止めを求める仮処分を申請しているからである。関西電力の高浜原発3,4号機が大津地裁の仮処分決定により、運転停止となっているが、その再現を狙ったものである。
問題は、仮処分とは、申し立てる側に「著しい損害」や「急迫の危機」があるときで、それを避けるための緊急避難措置である。そもそも、福島原発事故後、世界一厳しい安全基準をクリアして再稼働となった原発に、「著しい損害」や「急迫の危機」などある訳がない。まして、地裁に「著しい損害」や「急迫の危機」を論証する科学的知見など毛頭ない。大津地裁の運転差し止めは非現実的な「ゼロリスク論」による不合理的判断と言わざるをえない。司法界にも広がっている「ゼロリスク論」を早期に一掃することが喫緊の課題となるが。