2016年7月28日 毎日「自民過半数『3連勝』で回復」「参院27年ぶり、公明、存在感低下懸念」
毎日に「自民過半数『3連勝』で回復」「参院27年ぶり、公明、存在感低下懸念」が書かれている。
「自民党入りの意向を示していた平野達男参院議員(無所属)の入党が23日にも認められる見通しとなり、自民党が参院(定数242)で単独過半数を回復する。歴史的大敗となった1989年参院選以来、27年ぶりだ。3年ごとに半数が改選される参院の過半数回復には、2010年参院選からの『3連勝』が必要だった。安倍内閣の政権基盤が一段と強固になる一方、連立を組む公明党には存在感低下への懸念もくすぶる。
自民党は10日投開票の参院選で追加公認も含めて56議席を獲得し、非改選(65議席)と合わせ121議席となった。非改選の平野氏の入党は23日にも、地元の岩手県連で了承される見通し。同日中に入党扱いとなり、単独過半数に達する。
参院で過半数を失うと、次の選挙で前回の負けを補うほど大勝して議席を回復するのは容易ではない。政策研究大学院大学の竹中治堅教授は『議席を取り戻して過半数を回復するには2連勝する必要があり難しい』と指摘する。このため、99年に公明党、自由党(当時)と連立を組んで与党の参院過半数を確保。01年参院選は『小泉ブーム』で圧勝したが、04年は改選第1党を民主党に奪われ、07年は第1次安倍政権で37議席と大敗。自公でも過半数を失い、衆参で多数派が異なる『ねじれ国会』に苦しんだ。
その後、10年参院選で自民党が改選第1党を奪い返し、12年の第2次安倍政権発足後の13年と16年にも連勝することで単独過半数を回復した。竹中氏は『90年代以降、経済情勢が厳しくなり自民党の経済失政も重なった。新進党や民主党など野党が上り調子だったことも加わり(回復に)27年かかったのだろう』と分析する。
過半数割れした89年参院選で自民党は、消費税導入、リクルート事件、宇野宗佑首相の女性問題などの逆風が響き、過去最低の36議席だった。野党第1党の社会党(当時)は46議席を経て、土井たか子委員長(同)は選挙結果を『山が動いた』と評し話題となった。党のベテラン議員は『単独過半数回復に参院選4回は必要だろうと言われていたが、9回もかかった。感慨深い』と振り返る。
自民党は12年の政権復帰後は野党の低迷も後押しして、『1強』状態が続く。公明党は今回の自民党単独過半数に神経をとがらせる。党幹部は『単独過半数を背景にじわじわと自民党優位が進む可能性は十分ある』と警戒感を隠さない。ただ、20年近く続く選挙協力で、自民党の各議員の当選は公明党の組織票頼みなのが実情だ。自民党幹部は『自民の足腰は弱っており、公明党との選挙協力がなければ、あっという間に過半数を割る』と漏らす」。
自民党は27年ぶりに参院でも単独過半数を確保したが、公明党依存は変わらない。自民党の足腰が弱っており、公明党の組織票頼みとなっている。問題は、次の衆院選である。憲法改正に慎重な公明党の選挙協力が十全になされるのか、である。自民党支持層の思想武装による組織強化が喫緊の課題となる。