2016年6月16日 毎日「2016参院選」に「比例、自民は業界回帰」「野中元幹事長復党結束演出」「公募の候補者は1人だけ」
毎日の「2016参院選」に「比例、自民は業界回帰」「野中元幹事長復党結束演出」「公募の候補者は1人だけ」が書かれている。
「5月30日、東京・平河町の砂防会館別館で開かれた全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会合には、自民党国会議員らを含む関係者約1000人が詰めかけた。全土連会長を務める二階俊博総務会長は、参院選比例代表に同党から擁立する元農水省課長を紹介した後、声のトーンを上げた。
『これだけの同志がいるということを財政当局に見せる絶好のチャンスだ。頑張るのは候補者ではない。みなさんで力を尽くしていただきたい』
全土連が参院選に組織内候補を出すのは2007年以来、9年ぶり。『財政当局に見せる』とは、もちろん土地改良予算の拡充を指す。業界・団体が比例代表で票を掘り起こし、自民党の議席獲得に貢献する代わりに、当選した政治家を通じて影響力を行使するという『政と業』の関係は、長年の批判をよそに、なお命脈を保っている。
土地改良予算は1997年度の1兆2282億円をピークに減少し、民主党政権の10年度には2981億円まで削減されたが、安倍政権のもとで回復しつつある。15年度補正予算に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)対策として990億円が計上され、16年度予算でも3820億円を確保した。全土連は『かつてない追い風が吹いている』と意気上がる。
会合には前会長の野中広務元幹事長の姿があった。自民党が野党だった11年4月、『国の補助金をもらっている団体の長が政党に属すべきではない』と離党した後も、全土連への影響力はなお強い。翌日の党役員連絡会で、二階氏はさっそく野中氏の復党を提案。党は今月13日に復党を認めた。参院選に向けて全土連の結束を固めるには十分な演出だった。
比例代表で自民党の総得票に占める候補者個人名票の割合は、07年の36・3%から、野党時代の10年には24・3%に低下した。政権復帰後、業界・団体の同党回帰が進んだにもかかわらず、13年も23・7%とほぼ横ばいだった。
このデータは、高齢化などで支持団体の組織力が衰え、有権者に候補者の名前を浸透させるのが難しくなってきたことを示している。全土連の『復権』に二階氏が心血を注ぐのは危機感の裏返しにほかならない。
13年に柘植芳文氏を自民党でトップ当選させた全国郵便局長会は1月に候補予定者を変更し、準備の遅れを取り戻そうと懸命だ。同様に組織内候補を抱える全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)は、TPPへの不満から内部の足並みがそろわず、支持層が重なる全土連に『かなりの票を食われるのではないか』(農協関係者)と警戒する。
自民党は今回、インターネットを通じて比例代表候補を公募し、投票結果を踏まえて1人を公認した。新たな支持層を開拓する試みだ。ただ、これはあくまで例外。24人の候補予定者(14日現在)の大半は業界・団体の支援を受ける。野党のときに目指した『業界・団体頼みからの脱却』を、いま口にする党関係者はほとんどいない」。
比例代表で自民党の総得票に占める候補者個人名票の割合は07年の36・3%から、野党時代の10年には24・3%に低下、政権復帰後、業界・団体の同党回帰が進んだにもかかわらず、13年も23・7%と横ばい、今回も同じ横ばいとの予想である。業界・団体の高齢化による組織力低下である。今こそ「業界・団体頼みからの脱却」を期すべきである。