2013年8月16日

日経に「法人税率下げ、世界の潮流」「日本も検討、財政・成長両立カギ」が書かれている。

「安倍晋三首相が法人実効税率引き下げの検討を指示した背景には、日本と並んで税率が高い米国が7月末に税率下げを打ち出したことがある。世界の法人実効税率は20%台が主流。日本の財政悪化は主要国で突出しているが、経済活性化に向けた税率引き下げ論と向き合わざるを得ない情勢だ。

消費税率上げで家計に負担を強いる一方で、企業向けの法人税率を引き下げるのは政治的に困難――。法人税を巡り政府・与党では春先までこんな議論が支配的だった。だが、6月に決めた成長戦略では、海外企業の対内投資を増やすことで成長を底上げする方針も盛り込んだ。一部の企業だけ税負担を減らす投資減税では対内投資の活性化につながりにくい。

日本の法人実効税率は35・64%(復興特別法人税を含めて38・01%)でドイツ29・55%、中国25%、韓国24・2%と比べて高い。英国は11年に28%だった法人税率を15年4月に20%まで段階的に下げる方針だ。経済界からは『持続成長には実効税率下げが必要だ』(経団連税制委員長の佐々木則夫東芝副会長)との声がくすぶっていた。

議論加速の呼び水となったのは米国の動向だ。オバマ米大統領は7月末、連邦法人税の税率を35%から28%に下げ、製造業は25%にする税制改革案を発表した。米国が法人税率を下げれば、日本の高税率が世界的にも突出する。消費増税時の景気対策として税率引き下げ論が急浮上した。

安倍首相は厳しい選択を迫られる。法人税率引き下げは世界の潮流にも沿っており、経済活性化にもつながる。その半面、日本の債務残高は国内総生産(GDP)比で2倍超と世界でも突出している。1兆円超の減税になれば財政健全化の行方にも影響を与えるが、代替財源は見あたらない。研究開発減税など製造業に偏った既存の租税特別措置をやめ、税率下げの原資とする手もあるが、企業によっては税負担が増える例も出てくる。年末までの税制改正作業は難航が必至だ」。

安倍首相が、消費増税のセットとしての法人実効税率の引き下げの検討を指示したが、財務省の厳しい抵抗が予想される。安倍首相は、財務省に、1%の小刻み引き上げと法人実効税率引き下げをセットで呑ませようとしているが、財務省が呑まなければ先送りとなる

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