2015年6月16日 産経「沖縄、ダムに県外石材」「辺野古・那覇空港と矛盾」
産経に「沖縄、ダムに県外石材」「辺野古・那覇空港と矛盾」が書かれている。
「沖縄県が事業者として昨年1月に完成させた久米島町の『儀間ダム』の建設工事で、鹿児島県・奄美大島の砕石を使用していたことが11日、分かった。沖縄県の翁長雄志知事は防衛省の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設で県外土砂の搬入を規制し、内閣府の那覇空港第2滑走路建設でも県外石材の使用を認めない方針だが、国と県の事業での『二重基準』が明らかとなった。
儀間ダムは平成19年12月に着工し、昨年1月に工事が完了。同2月から運用試験を続けている。県によると、儀間ダム建設工事は約48万立方メートルの土砂や石灰岩を使い、そのうち奄美大島の砕石は5%に当たる2万3千立方メートルを充てた。奄美大島の砕石は最大で4センチ程度のもので22年ごろに搬入されたという。
儀間ダムは、昨年中に供用を開始する予定だったが、運用試験が遅れており、まだ供用は始まっていない。
沖縄県内で確認されていないアリなどの外来生物の付着の有無を確認したり、生態系に悪影響を与えないよう環境対策を施したりしたかについては不明。県河川課は『久米島町の事務所に置いてある資料を確認しないと詳しいことは答えられない』としている。
一方、防衛省は辺野古移設の埋め立て工事で奄美大島の土砂を使用する方針だが、翁長氏を支持する社民党などの県議が移設を阻止するため、県外からの土砂などの搬入を規制する 例案を6月議会に提出する。翁長氏も条例案を把握しており、可決・施行させれば規制に踏み切る構えだ。
内閣府は那覇空港第2滑走路建設での県外石材の使用を申請しているが、翁長氏は不承認とする方向で最終調整に入っている。仮に方針を転換して使用を承認したとしても、条例が制定されれば規制対象となる
<反対ありき、非現実的判断、翁長知事二重基準>
建設資材をめぐり沖縄県の翁長雄志知事の『二重基準』が浮かび上がった。二重基準の下、翁長氏が那覇空港第2滑走路建設で県外石材の使用を認めなければ、工期の遅れは避けられない。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設の阻止に固執するあまり、『環境・経済・安全保障のすべての観点で現実的判断が欠けている』(政府高官)との批判があがっている。
ある県幹部は『辺野古移設阻止を目的に第2滑走路建設に協力しないのは常軌を逸している』と翁長氏を批判する。
辺野古移設と第2滑走路建設は無関係だが、翁長氏は、外来生物の混入による生態系への悪影響を理由に、県外土砂や石材の搬入規制を正当化するとみられている。
だが、アリなど陸地の外来生物が付着していても石材を海に沈めれば死滅するとされる。内閣府は県外の石材採取地で洗浄して付着物を落とす対策案も示している。
それにも耳を貸さず、翁長氏が県外石材の使用申請を不承認とした場合、内閣府は主要採取地の沖縄本島北部の本部町からの調達を積み増すことを余儀なくされ、石材を運ぶ車両も増える。政府高官は『騒音や排出ガスが周辺住民に与える影響は外来生物よりも深刻だ』と指摘し、環境面で翁長氏の判断を疑問視する。
第2滑走路の工期を7年から5年10カ月に短縮することは、仲井真弘多前知事の要望を受け、安倍晋三首相が決断した。滑走路1本の空港としては旅客数が国内2位で、発着回数が限界に達しつつある中、さらなる観光振興と物流強化を見据えた要望と決断だった。
工期短縮は承認手続きなど県の『協力』を前提にしているが、翁長氏が県外石材の使用を認めなければ協力とは正反対の対応。県経済界からは『観光業のビジネスチャンスを潰すつもりか』との不満も渦巻く。工期が遅れれば、平成32年の東京五輪に伴う観光客増加に間に合わないからだ。
工期の遅れは安全保障面でも深刻な問題をはらむ。中国機に対する航空自衛隊戦闘機の緊急発進は26年度、過去最多を記録し、那覇空港からの発進も増加。空自は27年度中に那覇基地所属のF15戦闘機を約40機に倍増し、那覇空港は過密状態が増す。今月3日の那覇空港での離着陸トラブルも過密状態が一因で、第2滑走路の一日も早い供用開始は待ったなしのはずだ」。
翁長知事は、辺野古移設の県外土砂の搬入を規制し、那覇空港第2滑走路建設でも県外石材の使用を禁止する条例案を6月県議会で可決させる方針である。第2滑走路の完成が20年の東京オリンピックまでに間に合わなくなるのを承知の上である。辺野古移設工事を妨害するために、である。県民に、国益、県益を損ねる暴挙を周知徹底させることが急務となる。