2015年5月6日 日経「財政健全化、高成長が前提」「消費税10%超は封印」

日経に「財政健全化、高成長が前提」「消費税10%超は封印」が書かれている。

「政府は夏にまとめる財政健全化計画の基本方針を固めた。2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にする道筋として、経済成長による税収増で7兆円、歳出削減などで9・4兆円を賄う。実質2%以上という高い経済成長率を前提にした『成長頼み』の計画で、消費税の10%超への引き上げは当面検討しない。17年4月の消費増税を踏まえ、18年ごろに計画全体を見直す。 

<政府計画、18年ごろ見直し>
内閣府は2月に示した『経済財政に関する中長期試算』で、基礎的財政収支を黒字にするのに必要な赤字の穴埋め額について①国内総生産(GDP)成長率が実質2%以上、名目3%以上なら9・4兆円②実質1%弱、名目1%半ば程度なら16・4兆円――と推計した。  

日本の潜在成長率は実質1%に届かない水準だが、健全化計画は実質2%以上という高い成長率を見込む①のシナリオを採用。成長戦略の実行などによる税収増で7兆円を賄えるとし、歳出削減などで穴埋めする必要がある赤字は9・4兆円とする方針を打ち出す。

9・4兆円の赤字の穴埋めは歳入を増やすか歳出を減らすことになる。しかし歳入面は17年4月に予定する消費税率10%への引き上げ以外、消費増税を歳入増加策に採用しない。安倍晋三首相と甘利明経済財政・再生相が景気の腰折れを懸念して慎重なためだ。

消費税10%超を封印する代わりに、健全化計画自体を18年ごろに見直す規定を盛り込む。17年4月に予定する消費税率10%への引き上げ以外、消費増税を歳入増加策に採用しない。安倍晋三首相と甘利明経済財政・再生相が景気の腰折れを懸念して慎重なためだ。

消費税10%超を封印する代わりに、健全化計画自体を18年ごろに見直す規定を盛りこむ。17年4月の消費税10%への引き上げの影響も見極め、もう一段の消費増税や歳出削減が必要か判断する。

政府・与党は今後、具体的な歳出削減策などを検討する。社会保障を中心に歳出の伸びを抑えるほか、歳出を抑えた自治体に補助金や交付金を優遇して自主努力を促す案も検討する。マイナンバー導入による税収増を計算に入れる案もある。

健全化計画は首相が昨年11月、消費税率10%への引き上げを15年10月から17年4月に先送りした際に作成を表明した。政府は連休明けの経済財政諮問会議で議論を始め、自民党も歳出削減などの議論を本格化させる。夏までに政府、与党間で調整し、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)とともにまとめる。

政府・与党では一時、国と地方の債務残高の総額をGDP比で減らす新目標を検討する動きもあった。分母のGDPが伸びれば、債務が減らなくても財政が改善したと主張できるものの、『成長頼み』の印象がさらに強まるため今回は見送る。基礎的財政収支の黒字化後の目標とする方向だ」。

政府は夏にまとめる財政健全計画の基本方針を固めたが、正論である。2020年までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字にする道筋として、経済成長による税収増で7兆円、歳出削減で9・4兆円を賄う。実質2%以上という経済成長率を前提にしたものであり、消費税10%超は封印している。アベノミクス成功によってデフレ脱却するから当然であるが、問題は、9・4兆円の歳出削減である。既得権益にどれだけ切り込めるか、である。改革派勢力の結集が急務となる。

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