2015年1月27日 日経 「大機小機」「戦後日本70年の総括」
日経の「大機小機」に「戦後日本70年の総括」が書かれている。
「戦後70年にあたって発表予定の首相談話が注目されている。日本は戦後の荒廃から目覚ましい勢いで立ち直り、最も成長した平和国家である。その発展の教訓を伝えて世界に貢献する希有な機会である。
戦後70年間戦争をしなかったのは国連加盟193カ国のうち8カ国しかなく、アジアで日本以外はブータンだけである。世界に誇るべき歴史である。戦前も歴史だが、戦後70年は現代に暮らす人間には十分に長く、より重要な歴史である。戦後生まれが総人口の8割にもなり、戦争を望んでいる日本人はいないだろう。何よりも、戦争は引き合わない。
戦後70年の歴史の本質は何か。日本が開戦した契機は領土拡張による石油資源の確保であった。だが、戦後日本が高度成長できた原因は自国内に資源を持たなかった点にこそある。
国内に資源を持たないため、世界中で最も高品質で最も低価格の資源を選んで輸入し、加工することで高い付加価値を生み、さらなる輸入資源の購入原資を得ることができた。加工貿易を糧として生き、付加価値を生む技術や世界に売れる新製品の開発に突き進んだ。資源があれば、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉のときの農産物と同じで、国内産業保護のため輸入は制約される。
成長の源泉は領土ではなく、絶えざる技術進歩であり、それを生む人材教育である。日本の教育は、江戸時代に寺子屋が普及し、識字率が当時としては世界最高水準だった。明治以降の急速な近代化もその基礎の上にある。戦後の民主化は社会の自由度を高め、西欧以外では初の先進国となった歴史は途上国の目標でもある。
一方、70年間の後半はバブル期に始まる政策失敗の歴史であり、政策の失敗がどれほど国の成長を妨げるかという教訓である。米国は日本を他山の石として、大胆な金融政策でデフレ突入を防ぎ早期に成長を回復した。そのモデルは世界標準となり、日本も停滞を生んだデフレから脱して、成長回復への動きが始まりつつある。
アジアは世界の成長をけん引し、人材や技術、資金を持つ日本の貢献が一層期待される環境にある。それは日本の成長にもつながる。この機会に、戦後史を総括し未来志向の教訓を世界に発信すべきである」。
コラムに書いている「戦後70年間戦争をしなかったのは国連加盟193カ国のうち8カ国しかなく、アジアでは日本以外にはブータンだけである。世界に誇るべき歴史である。戦前も歴史だが、戦後70年は現代に暮らす人間ンは十分に長く、より重要な歴史である」は、正論である。戦後70年の首相談話で安倍首相が最も訴えるべきは、70年間一度も戦争をしなかった「平和国家」日本であることだ。世界で8カ国、アジアではブータンと日本のみである。