2014年12月8日 日経「円安、恵みと痛み偏り」「輸出企業、コスト増吸収」「家計負担、原油安が緩和」

「36円円安と日経平均7700円高」

日経に「円安、恵みと痛み偏り」「輸出企業、コスト増吸収」「家計負担、原油安が緩和」が書かれている。

「円安・ドル高がさらに進み、5日の海外市場で円は一時1ドル=121円台半ばまで下落した。1カ月強で10円以上も円安に振れ、輸出企業の収益押し上げ効果は強まる。一方で食料品や部材など輸入品の値上げ圧力はより高まる。原油安による負担緩和で、足元の円安は日本経済全体にプラスに働くとの見方が強いが、恩恵と痛みは企業や家計ごとに偏りがある。

5日発表した11月の米雇用統計が好調だったことを受けて円安・ドル高が進み、5日連続で7年4カ月ぶりの円安水準を更新した。安倍晋三首相は5日、北海道旭川市内の演説で『中小企業が円安で大変だというのは確かにそうだ』としつつも『だからといって民主党政権時代に戻していいのか。円高で根っこから仕事がなくなる』と訴え、円安のプラス側面を強調した。

円安が追い風となるのが、輸出企業を中心とする大企業だ。三菱総合研究所によると、大企業製造業は売上高に占める輸出比率が24%あり、売上原油に占める輸入比率は10%にとどまる。円安でも原材料のコスト増より、輸出品の採算改善が上回る。一方で中小製造業は輸出比率が3・5%、輸入比率は5・0%と逆転。円安時は資材の値上がりに苦労しやすい。

業種によっても円安効果に違いが出る。輸出比率の高い『電子部品・デバイス』は10月の鉱工業生産指数が前月比1・6%上昇した。輸入原材料への依存が高い『繊維工業』は苦戦し、1・6%低下した。円安が進めば進むほど、恩恵を受ける企業と負担が増える企業の開きが出てくる。

円安が急ピッチで進みすぎると、販売価格の設定など事業計画が追いつかず企業活動にマイナスとなる。SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは『事業会社は四半期の相場変動を1~2円程度と想定しており、急激な円安には対応しきれない』と指摘する。中小企業は値上げ交渉に出遅れて収益を圧迫しかねない。

4月の消費増税後、家計は物価上昇に敏感だ。円安によって物価が上がりそうなのは、輸入品の比率が高い食品や衣料品だ。ハウス食品は来年2月から『バーモントカレー』(230グラム)の税抜き価格を295円から318円に上げる。日清オイリオグループとJ-オイルミルズも1月から家庭用と業務用の食用油を値上げする。

10月の消費者物価指数をみると、長く値下がりが続いていた『衣料』が前年比2・8%上昇し、16年7カ月ぶりの高い値上がり率となった。食パンなどの『頻繁に購入する品目』は4・1%値上がりしており、消費者心理を冷やしている。
ただ急速に進む原油安が、円安による家計の負担増を軽減している。レギュラーガソリンの小売価格は20週連続で下がり、4カ月半で約12円(1リットルあたり)下落した。冬場の需要が大きい灯油も値下がりが期待できる。

円安によって家計が保有する外貨建て資産(円建てベース)は、残高が昨年末から7兆円近く増えた。円安は株高につながっており、金融資産を持つ個人ほど円安の恩恵を受けやすい。ただ食品や衣料品の購入負担が重い低所得者層は、むしろ円安のコスト増が生活を圧迫しそうだ。

日本経済全体でみると、足元の円安水準はまだプラスに働くとの見方がある。内閣府によると円安が10%進むと翌年の名目国内総生産が0・18%増え、さらに原油安が20%進めば同0・54%押し上げる。また日本への外国人観光客が今年過去最高の1300万人に達する勢いとなるなど、地域によっては消費の底上げ効果も期待できる」。

5日のNY外為市場で、円は一時121円69銭となり、7年4カ月ぶりの円安・ドル高水準となった。政権発足時(2012年12月26日)の1ドル=85円の超円高が、2014年12月5日現在、1ドル=121円の超円安になっていることである。36円安である。結果、日経平均が1万0230円から、1万7920円と約7700円上昇した。アベノミクスの成果である。このどこがアベノミクスの失敗なのか、である。

問題は、株高資産効果もあって積み上がった大手企業の内部留保400兆円余が、設備投資、賃金に回っていないことである。一時回ったが4月からの消費増税によってストップをかけられたのである。消費増税は1年半先送りしたから、この間に、好循環を作り出すのである。17年4月まで3回の賃上げができるからである。15年4月の賃上げで、物価上昇に賃上げが追いつくから、国民の過半数が景気回復を実感できるようになる。安倍首相、今回の総選挙で、アベノミクス成功のために、4年間の猶予期間を民意から賦与されなければならない。自民300議席超は必須となる。

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