2014年4月25日 朝日「靖国参拝見送り米に配慮」「安倍首相、オバマ氏来日控え」

「安倍晋三首相が21日、靖国神社で始まった春季例大祭に、神前に供える『真榊』を『内閣総理大臣 安倍晋三』の名前で奉納した。米国が日本と近隣諸国との不安定化を懸念することや、オバマ米大統領の訪日を23日に控えることに配慮し、例大祭中の参拝は見送る方針だ。

第1次政権で参拝しなかったことを『痛恨の極み』としてきた首相にとって靖国参拝は重要な意味を持つ。参拝するかどうかの明言を避けつつ、節目ごとに外交への影響との両にらみで判断してきた。

昨年は、春と秋の例大祭で『真榊』、8月15日の終戦の日は自民党総裁として玉串料をそれぞれ奉納。就任1年を迎えた昨年12月26日に参拝に踏み切った。参拝の有無に関わらず、中国・韓国との関係改善が進まないとみたからだった。

今回の参拝見送りは、23日からのオバマ氏訪日への悪影響を避けるためだ。アジア重視を掲げるオバマ氏にとって、日本と中韓のさらなる関係悪化は地域の不安定化につながる。首相にとって中韓の反発は織り込み済みだが、昨年の参拝では、米国が『失望している』と異例の声明を出し、日米関係自体がきしんだ。

オバマ氏が仲を取り持つ形で3月に日米韓首脳会談が開かれたこともあり、首相は今回、真榊の奉納にとどめたとみられる。菅義偉官房長官は21日の記者会見で『(中韓の批判は)全く当たらない。日米首脳会談に影響を及ぼすようなことではない』と改めて強調した。

<中韓は反発>
安倍首相による靖国神社への真榊の奉納について、中国外務省の秦剛報道局長は21日の定例会見で、『靖国神社の問題は、日本と隣国との関係を破壊する要因だ』と述べ、日本側に抗議したことを明らかにした。韓国外交省も21日、『地域の安定を阻害する時代錯誤的な行為だ』と非難するコメントを出した」。

安倍首相が、春季例大祭の参拝を見送ったのは、オバマ大統領の訪日に配慮したものであるが、これからの日米韓連携を考慮すれば、靖国参拝自粛は在任中、続けなければならない。問題は、安倍首相にその覚悟ができたのか、である。

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