2014年4月24日 日経社説「日米首脳は大局的な決断でTPP打開を」

「第3の開国を」
日経の社説に「日米首脳は大局的な決断でTPP打開を」が書かれている。

「日米が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、両国が個別の市場分野で利害を調整するためだけの場ではない。民主主義と市場経済の価値観を共有する2つの経済大国が絆を強め、アジア太平洋地域の安定と成長のために、新しい国際通商ルールを築くことに本質的な意義がある。

オバマ米大統領の来日と日米首脳会談が目前に迫った。しかし、最大の議題となるTPPに関しては、なお日米2国間の関税協議が難航している。たび重なる閣僚協議でも合意に至っていない。

日米が対立する理由は、自民党が『聖域』としてきた牛肉・豚肉など農産品の5項目の扱いで、関税の引き下げ幅などの溝が埋まらないからだ。米側はコメ、麦、砂糖については関税撤廃を求めない柔軟姿勢を示したが、牛肉・豚肉と一部の乳製品で大幅な引き下げを強く要求しているという。

このままでは、首脳会談でも関税では決着が見送りとなりかねない。日米双方の政府が、簡単には妥協できない理由を国内に抱えているのは事実だ。だが互いに譲り合わなければ、道は開けない。

その政治決断ができるのは首脳だけだ。安倍晋三首相とオバマ大統領はTPP構想の原点に立ち返り、大局的な見地から決着を目指してほしい。日米の関税協議は、今回の首脳会談が事実上の最後の期限だと肝に銘じるべきだ。

TPP域内経済の8~9割を占める日米が、関税削減という旧来型の自由化で合意できなければ、他の交渉10カ国への影響は計り知れない。関税率など具体的な数字を欠けば、いくら両国が『交渉前進』を演出しても、『日米合意』とは見なされない。TPP構想自体が勢いを失い、高水準の自由化を目指す夢は遠のいてしまう。

中国やロシアなど知的財産権や競争ルールを軽視する自国中心主義的な国々が、一段と幅をきかせる事態にもなりかねない。そのような世界市場の姿は、健全とはいえない。世界の経済成長の中心となったアジア太平洋地域で、ルールを重んじる新しい経済の秩序を築けるかどうか。日米連携の真価が問われている。

日米の対立が、TPP交渉全体を停滞させている。その現実を日米はいま一度直視すべきだ。両首脳の決断で突破口が開ければ、TPP交渉を再び活性化することもできる。通商交渉の新たな歴史を開く日米首脳会談にしてほしい」。「このままでは、首脳会談でも関税では決着が見送りとなりかねない。日米双方の政府が、簡単には妥協できない理由を国内に抱えているのは事実だ。だが互いに譲り合わなければ、道は開けない。その政治決断ができるのは首脳だけだ。安倍晋三首相とオバマ大統領はTPP構想の原点に立ち返り、大局的な見地から決着を目指して欲しい。日米の関税協議は、今回の首脳会談が、事実上の最後の期限だと肝に銘じるべきである」は、正論である。

特に、安倍首相の政治決断にかかっている。そもそも、TPP交渉は、日本にとって、第3の開国という位置付けである。鎖国的日本が世界に向かって開く、歴史的好機だからである。農産品5項目関税撤廃ありきである。TPPの理念は自由化率100%だからである。日本自らが関税撤廃の先頭に立つべきが世界第3位の経済大国の責務だからである。安倍首相には、第3の開国を、政治決断する使命がある。

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