2014年4月3日 朝日 「自民『行使容認』に力技?」「集団的自衛権砂川事件判決を根拠」「公明『論理の飛躍』」
「限定容認論」
朝日に「自民『行使容認』に力技?」「集団的自衛権砂川事件判決を根拠」「公明『論理の飛躍』」が書かれている。
「集団的自衛権の行使容認を巡る自民党内の意見集約が本格化する中、行使容認の根拠として、1959年の『砂川事件』最高裁判決が急浮上してきた。行使容認派は、最高裁が集団的自衛権の行使を否定していない論拠だと位置づけ、党内の説得に当たるが、公明党からは『論理の飛躍だ』といった批判が出ている。
『この判決が、私が知る限り、最高裁が自衛権に触れた唯一無二の判決だ』。3月31日、集団的自衛権をめぐって議論した自民党の安全保障法整備推進本部の会合。講師役の高村正彦副総裁が160人の議員を前に持ち出したのが、砂川事件の判決だった。
裁判自体は米軍駐留の合憲性が争われたが、高村氏が重視したのは、判決が自衛権に触れて『わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる』とした部分だ。
高村氏はこの判決から、日本の存立のための必要最小限度の措置には、集団的自衛権の一部も含まれるという『限定容認論』を主張している。31日の本部の会合では、日本を守るために活動する米艦船を自衛隊が防護する事例を挙げ、『集団的自衛権であっても、<必要最小限度>に当たるのではないか』と語った。
砂川判決を基にした集団的自衛権の行使容認論は、自民党内の慎重派に一定の効果を上げた。講演後、行使容認の慎重派である脇雅史参院幹事長は『最高裁の判断は一番重い。高村副総裁の話はおおむね納得できる』。行使容認は憲法改正で対応すべきだと主張してきた中谷元・元防衛庁長官も2日のBSフジの番組で『高村さんの考え方はすとんと納得できた。この概念でまとまることができたらいい』と理解を示した。
砂川事件の最高裁判決は、首相の私的諮問会議『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』(安保法制懇)も着目。解釈変更の理論的基盤として、集団的自衛権の行使容認を求める報告書に盛り込まれる可能性がある。こうした事情を背景に、高村氏は集団的自衛権の行使が最高裁判決で認められていることを強調することで、党内の慎重派の理解を得たいとの思いがある。安保法制懇メンバーの1人も『行使容認に慎重な公明党の説得材料にもなる』と期待を込める。
しかし、集団的自衛権の行使容認に基本的には反対の公明党の山口那津男代表は1日の記者会見で『(最高裁判決は)日米安保体制や自衛隊が合憲、違憲かという論争の中で下された判決であり、集団的自衛権を視野に入れた判決だと思っていない』と強調。北側一雄副代表も『論理の飛躍だ』と突き放す。青井未帆・学習院大教授(憲法学)は『集団的自衛権の行使を認めない政府見解は、1959年の砂川事件の最高裁判決が出た後に固まった。今さら、砂川判決を持ち出して理解を求めるやり方には、相当な無理がある』と指摘している」。
高村正彦副総裁の「限定容認論」が、自民党の慎重論を収束に向かわせている。1959年の「砂川事件」の最高裁判決を根拠にしているからである。「我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置を取りうる」。この判決から、日本の存立のための必要最小限度の措置には、集団的自衛権の一部も含まれるとの「限定容認論」を導き出している。最高裁の判決を論拠にしているから、自民党の慎重論を吸収しえるのである。
問題は、慎重論の急先鋒である公明党であるが、「限定容認論」を容認するのは時間の問題である。公明党の慎重論の「論理的根拠」である「護憲」を、最高裁判決でクリアーしているからである。「集団的自衛権行使容認」の「今国会中での閣議決定」が見えてきた。