2022年8月25日 スポーツビジネス電通の功罪
東京オリンピック:パラリンピックのスポンサー選定等をめぐり、大会組織委員会の元理事で電通の元幹部が逮捕された。AOKIホールディングス側からの賄賂を受け取ったとの疑惑だ。電通自体がオリ・パラのみならず、サッカーワールドカップや世界陸上など大きな大会に関わってきた。スポーツをビジネスとして捉え看板広告収入の枠を超えテレビの放映権価格も莫大になってきた。
今回オリ・パラ運営のスポンサー集客代理店は今迄の実績から電通が適任とされたのであろうが、1兆4千億円が投じられるオリンピック・パラリンピックに利権が伴う事は容易に想像出来たので、政府、東京都はコンプライアンスを重視して監視に当たるべきであったと思う。関係者の話ではスポンサー契約に関し一定額を超えた分は手数料も増えていく歩合的な内容だったらしい。国内スポンサーは総額3761億円集まった。
一方、贈賄容疑で家宅捜査され創業者でありAOKIホールディングスの前会長が逮捕されたAOKI側は業界二位の大手であるが、バブル崩壊以降はサラリーマンのカジュアル化等もあり主力製品のスーツは低迷していた。経営方針もスーツからカジュアル化やブライダル事業、カラオケやカフェ、スポーツ向けの服飾に多角化を図っている。そんな中での東京オリンピック・パラリンピックは起爆剤として千載一遇のチャンスでもあったのであろう。現実に公式スポンサーになり五輪の公式服に選任された効果はその後の公式エンブレム入りスーツ売上げにあらわされている。
ロサンゼルス大会以降、多額の資金が動きショービジネス化した五輪であるが、今の状態では先進国レベルの経済力がある国しか開催国になれないであろう。国立競技場建設のごたごたや、失言による組織委員長の交代劇、コロナ禍に於いて大会延期を余儀なくされた東京五輪の不透明な部分を踏まえ、世界の国々は本来の五輪憲章を再確認する必要がある。 スポーツの公平性や感動と裏腹に多額の税金が投入されるイベントに、利権に走る質の悪い大会関係者を性善説でみるのは無理が出てきたと思う。