2014年1月17日 産経 「TPP交渉、空中分解の危機」「閣僚会合『次が駄目なら大変なことになる』」「かたくなな米、譲歩どこまで」

産経に「TPP交渉、空中分解の危機」「閣僚会合『次が駄目なら大変なことになる』」「かたくなな米、譲歩どこまで」が書かれている。

「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が“空中分解”の瀬戸際にある。交渉参加12カ国は次回の閣僚会合を2月に開く方向で調整する。だが、関税や知的財産などの難航分野で解決の糸口はなく、開催しても物別れに終わる懸念は強い。交渉の長期化を回避するには、強硬姿勢を崩さない米国がどこまで譲歩を示すかが鍵となる。

『次が駄目なら大変なことになるという認識では、各国とも一致してい』。日本政府の交渉関係者は、次回閣僚会合が早期妥結の正念場だと強調する。

参加12カ国は昨年12月にシンガポールで閣僚会合を開いたが、難航分野で歩み寄りはなく、昨年中の妥結を断念。共同声明には次回閣僚会合を今年1月に開催すると明記した。

当初、12カ国は1月22日からスイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の直後に、ロンドンで開くことを検討した。だが、米国などがクリスマス休暇に入り、各国の意見調整が十分できないことから、閣僚会合には時期尚早と判断した。

その後、12カ国は2月中旬の開催で改めて調整に入ったが、依然『閣僚が集まっても、まとめるのは難しい』(交渉関係者)状況が続いている。前段となる首席交渉官会合の日程もまだ固まっていない。

甘利明TPP担当相は『1月中に日米間の段取りをつけないと全体がまとまらない」と述べ、ダボス会議にあわせて米通商代表部(USTR)のフロマン代表と会談する意向だったが、双方の日程調整がつかず、『実現は難しくなった』(交渉関係者)という。

TPP交渉が昨年12月の閣僚会合で妥結できなかった要因は、日米間の関税協議で溝が埋まらなかったことが大きい。日本は、コメなど重要農産品5分野の関税維持を主張したが、米国はあくまでも全貿易品目の関税撤廃を求めた。

また米国は、マレーシアやベトナムなど新興国との間でも、知的財産の保護ルールや国有企業改革などの分野で対立が続いている。米国の強引な要求に各国が反発する中で、交渉の成否の鍵は、米国が柔軟姿勢に転じるかどうかだ。

オバマ米大統領は、TPP交渉の早期妥結に強くこだわっている。今年11月の米中間選挙に向けて、経済政策の実績作りを急ぐためだ。『米国が本気でまとめるなら、ギリギリのタイミングで折れてくれるのではないか。そうなれば、一気に妥結する可能性が高い』と交渉関係者は期待する。

ただ、米議会の超党派議員が今年9日に提出した、大統領に強い通商権限を与える「大統領貿易促進権限(TPA)」法案が、TPP交渉において“もろ刃の剣”になる懸念がある。

TPAは米国が他国と結ぶ通商協定について大統領が議会に修正を許さず、批准の賛否のみを問える仕組みだ。成立すれば、政府間の合意事項を米議会が覆す心配は薄れる。だが、同法案には通商交渉の過程で議会との協議を重視する方針も盛り込まれており、今後の交渉に議会の介入が強まる恐れもある。

TPP交渉は、オバマ大統領がアジアを歴訪する4月が妥結の最終期限になるとの見方が多い。米国内が本格的な選挙戦に突入する4月以降は、地元への利益誘導色の濃い要望が議員から増え、米政府は柔軟な決断が難しくなるためだ。

東アジア包括的経済連携(RCEP)交渉など「メガFTA(巨大自由貿易協定)」と呼ばれる広域の経済連携が進む中でその先駆けとされるTPPが失速を免れるかどうか。時間は限られている」。

TPP交渉のタイムリミットは、オバマ大統領の訪日までとなる。米国国内で4月から中間選挙一色となるからだ。TPP交渉妥結は、日本側の96%自由化への決断にかかっている

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