2014年1月16日 産経(黒田勝弘・論説委員) 「から(韓)くに便り」に「反日の出口、今度は『用日』論」

産経の黒田勝弘・論説委員が「から(韓)くに便り」に「反日の出口、今度は『用日』論」を書いている。

「正月に日本に行ってきたが反韓感情の広がりに驚いた。韓国について『日本のやることなすことすべてに文句をつけ、足を引っ張る国』という印象が広がっているのだ。確かに、ソウルにいても韓国マスコミの報道に接する限り韓国は反日の固まりだ。

日本で以前は『韓国に住んでいる』というと『大変ですねえ』といわれた。それが近年は韓流ブームのせいか『いいですねえ』と劇的に変わっていた。ところが今また『大変ですねえ』に戻ったのだ。

最近の日本社会で驚くことは、韓国での反日嫌がらせ現象が実によく知られていることだ。これは近年、韓国のネットメディアが韓国情報を日本語でせっせと日本に送りこんでいるせいと思われる。その結果、ソウル在住の筆者も知らないささいな反日ネタまで多数、日本で流通している。

韓国メディアの反日情報ビジネスが日本で反韓ブームを招いているのだから自業自得かもしれない。しかし韓国居住者からすると、他の日常情報の中で相変わらずの反日だから新鮮味はないし、実感は弱い。

韓国での実感はメディアが異常に突出しているのだ。したがって『大変ですねえ』には『いや日常的にはそうでもないですよ』というしかない。

ところで日本では、朴槿恵大統領や外相らが外に出かけて日本批判をしてまわる“告げ口外交”に、多くの人が一様に不満を語っていた。そして『黒田記者も恋人みたいに持ち上げていた彼女に裏切られたのだから、もう日本に戻ってきてはどうですか』と皮肉られた。

“恋人”は余計だが、確かに大統領候補時代以来、陰に日なたにかなり彼女を“ヨイショ”したことは間違いない。その意味で失望ではある。ただ、今から50年近く前、戒厳令で国内の反対世論を押し切り日本との国交正常化を実現した朴正煕大統領の『背中を見て育って娘』のことだから、日本の重要性は分かっているはずだと思いたい。

こんなことを書くとネット世界の反韓派などからは『まだそんな甘いこといっている!』と叱られそうだが、引っ越しできない相手なのだから、嫌いでもやはり付き合い方はそれなりに考えなければならない。

以前このコラムで、1980年代の反日の際、韓国で『克日(日本を克服する)』なる新語が登場したことを紹介した。メディアと政府が一体となって『反日から克日へ』『克日のためには敵を知るため知日だ』とキャンペーンが展開され反日が収まったという話だが、今度は韓国の有力紙に『用日』論が登場した。

9日付「中央日報」の社説『政府は“用日”の世論に耳を傾けるべきだ』がそれだ。さる世論調査で『中国の浮上などを考え日本との安保協力は必要』が64%、『大統領は対日関係改善に積極的に動くべきだ』が58%を占めたことなどを紹介し、国益のためには名分や原則にこだわらず『日本を活用する』という“用日”でいくべきだと主張している。とすると当然こちらも“用韓”論ということになるだろう」。

9日付の中央日報の社説の「政府は“用日”の世論に耳を傾けるべきだ」は、正論である。反日からの出口となるからだ。国益のために日本を活用すると言うのである。「中国の浮上などを考え、日本との安保協力は必要」が64%を占めたからである。「用日」のために、首脳会談は時間の問題となるが。

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