2019年5月2日 朝日「統一地方選」「前半戦政権幹部に明暗」「麻生・二階氏の求心力に影力強める菅氏」
朝日に「統一地方選」「前半戦政権幹部に明暗」「麻生・二階氏の求心力に影力強める菅氏」が書かれている。
「7日投開票の統一地方選前半で、安倍政権を支える菅義偉官房長官、麻生太郎副総理、二階俊博自民党幹事長の明暗が分かれた。後ろ盾となるなどした候補者の勝敗の結果だが、政権の中軸となってきた3氏だけに、今後の政権内力学に影響を与える可能性もある。
安倍晋三首相は8日の党役員会で『北海道知事選で勝利し、道府県議選は4年前を上回る議席を獲得することができた』と述べる一方、大阪府知事・大阪市長の辞職に伴うダブル選や福岡県知事選を挙げ『厳しい結果だ』と振り返った。
福岡知事選では、首相の盟友の麻生氏が推す新顔が現職に大敗した。現職はもともと、8年前に麻生氏の後押しで初当選。その後の両者の関係悪化で新顔に乗り換えた経緯があり、党内から『麻生派のわがまま』との恨み節が漏れるなかでの分裂選挙となった。
選挙期間中の1日には麻生派の塚田一郎・前国土交通副大臣が新顔の応援演説で『忖度』発言をし、5日に辞任。麻生氏は7日、福岡市内で支援者を前に『誠にふがいなく、われわれの力不足』と頭を下げた。
自民福岡県連内からは、新顔が自民推薦候補だったことから、現職を支援した議員らの処分を求める声も上がるが、二階氏は8日、記者団に『処分はわが党にはなじまない』と否定。首相周辺は『麻生氏の影響力が落ちることを首相は気にしている』と話す。
二階氏の地元でも波乱があった。和歌山県議選の御坊市選挙区(定数1)で、二階氏の元秘書で県議を8期務めた自民現職が共産新顔に敗退。二階氏の長男が敗れた3年前の御坊市長選に続く結果に、『二階王国の崩壊』との声も飛ぶ。二階氏は8日、『詳しい状況は知らない。日常活動で負けた方の活動量が劣っていたんじゃないか』と記者団に述べるにとどめた。
一方の菅氏。大阪ダブル選の大阪市長選を制した日本維新の会代表の松井一郎・前大阪府知事とは、定期的に会食する間柄だ。知事・市長のポストを入れ替えて立候補する『クロス選』についても事前に相談を受け、事実上容認。ダブル選での維新勝利により、国会で与野党が対立した際に維新との協力関係を使う『カード』も維持することになった。
地元の神奈川県知事選では後押しする現職が3選を果たしたほか、今回知事選で唯一、表立っての応援に入った北海道知事選でも勝利を収めた。
菅氏は8日の記者会見で『自治体の選挙でコメントは差し控える』と繰り返したが、自民党内からは『政治家の求心力は選挙の強さ。菅氏の存在感が高まる』(閣僚経験者)との見方が出ている」。
政治家の求心力は選挙の強さによって決まるが、北海道知事選と大阪ダブル選を制した菅官房長官の存在感が強まったことは確かである。安倍晋三首相を支える政権の中枢である麻生副総理、二階幹事長、菅官房長官の3人の権力バランスに変動が起きたといえる。