2016年11月4日 東京の社説に「中国『六中全会』」「危うい過度な権力集中」

「共産党一党独裁の宿痾」

東京の社説に「中国『六中全会』」「危うい過度な権力集中」が書かれている。

「中国共産党の重要会議『六中全会』の総括コミュニケで習近平氏は『核心』と明記され、権力掌握が確立した。習氏は集団指導体制堅持を強調したが、過度な権力集中は独裁への危うさをはらむ。

六中全会を総括するコミュニケは『習近平同志を核心とする党中央』との表現で、党総書記兼国家主席の習氏を中国指導部の中で別格の最高指導者と認めた。

毛沢東、鄧小平のカリスマ指導者以外に、最近では江沢民元党総書記に使われた『核心』とは、重要問題への最終決定権を持つ地位との理解が一般的である。

来年秋の党大会で決まる最高指導部人事で、習氏が大きな影響力を持ち、『一強体制』がさらに強化されるのは間違いない。

コミュニケは習政権が『トラもハエもたたく』と進める反腐敗の成果を『高く評価』した。反腐敗が経済発展の負の側面である拝金主義まん延や社会格差の是正に一定の成果を挙げ、多くの庶民から歓迎されたことは事実である。

だが、反腐敗闘争で失脚し監獄につながれた多くの『トラ』が、江元総書記や胡錦濤前総書記につらなる有力政治家であり、政敵粛清の面も否定できない。

鄧氏に『核心』に指名された江氏と比べ、政敵追い落としと聖域とされた軍掌握を通じ、自ら『核心』の地位を勝ち取った習氏の権力は毛、鄧のカリスマ指導者に迫るほど高まったといえる。

上海郊外の水郷地帯・七宝の土産物店を訪れると、毛、鄧両氏と並んで飾られた習氏のバッジを観光客が競って買い求めていた。

人民日報系の環球時報社説は『“習核心”はすでに人心と称賛の言葉の中にある』と持ち上げた。社会全体の習氏に対するおもねりの雰囲気が気がかりだ。

内政での権力掌握が過度な自信となり、強硬で一方的な対外政策につながっているようにも映る。中国の南シナ海権益主張を退けた仲裁裁判所の判決を『紙くず』と切り捨てるような態度は、法の支配への挑戦といえるだろう。

習氏は定年延長により十年を超える権力掌握を狙うとの観測もある。『中華民族復興の夢』実現には強い指導者が必要との考えもあろうが、長期にわたる過度な権力集中は独裁への危うさをはらむ。

習氏自身は会議で、集団指導体制の堅持を強調した。中国が文革の悲劇を通じて勝ち得た、個人崇拝や独裁とは一線を画す政治の知恵を守りぬいてほしい」。

社説の結語である「習氏自身は会議で、集団指導体制の堅持を強調した。中国が文革の悲劇を通じて勝ち得た、個人崇拝や独裁とは一線を画す政治の知恵を守り抜いてほしい」に異論がある。個人崇拝や独裁は共産党一党独裁の宿痾であり、政治の知恵でどうこうできるものではないからだ。毛沢東、スターリン、金日正への個人崇拝、独裁がそれである。

問題は、共産党一党独裁が、反民主主義であり、全体主義そのものであることだ。そもそも、共産党一党独裁が民意によって選択されたものではないからだ。民意の本心は決して共産党一党独裁を選択しないからである。言論の自由、表現の自由、結社・集会の自由が認められない共産党一党独裁を、である。共産党一党独裁は、容認すべきではなく、民意によって倒されるべきなのである。

 

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