読売に「政策決定、来月末に集中」「首相、同日選意識か」が書かれている。
「政府は『経済財政運営と改革の基本方針』(骨太の方針)、成長戦略『日本再興戦略』『ニッポン1億総活躍プラン』の決定時期をいずれも変更し、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)直後の5月末とする方針を固めた。経済成長への道筋を示す重要政策を一挙に決定することになるため、『安倍首相がサミット後に消費増税先送りを打ち出し、衆院を解散して衆参同日選に打って出る布石ではないか』との憶測を呼んでいる。
首相は9日、東京都内で開いた『桜を見る会』のあいさつで、今年の春闘に触れて『3年連続のベアであり、賃上げ率は大企業より中小企業が高かった』と述べるなど、経済面での実績を強調した。
安倍内閣の目玉政策を集める1億総活躍プランは、当初5月中旬までの決定が想定されていたが、5月26~27日にサミットが予定されているため、日本政府内に『経済政策の手の内をさらすことはない』との声が強まった。
骨太の方針と成長戦略は、昨年は6月30日に閣議決定しており、約1か月の前倒しとなる。首相官邸は与党などに対し、『参院選の与党公約に間に合わせるためにも、党内手続きを丁寧にするには会期末が最適』などと説明している。
ただ、3本の重要政策の決定時期がいずれも5月末となったことから、与党を中心に『意図的な変更では』との指摘が強まっている。首相が次期衆院選と夏の参院選を同時に行う衆参同日選に踏み切る場合、通常国会の延長がなければ会期末の6月1日に衆院を解散し、7月10日投開票とする案が有力視されている。解散と同時に事実上の選挙戦がスタートするため、成長戦略などをまとめて決定することは『同日選のアピール材料になる』(自民党幹部)というわけだ。
一方で、骨太の方針など三つの計画は、2017年4月に消費税率を10%に引き上げて得られる税収を前提に作成が進んでいる。このため、『増税を先送りする場合は修正するか、最終決定の保留が必要になる』(首相官邸筋)との懸念もある。
安倍首相は2017年4月の消費税率10%への引き上げについて、『リーマン・ショックや大震災のような重大な事態』が起きない限り、予定通り実施する考えを強調してきた。
経済団体は『アベノミクスの効果もあって(日本経済は)相当程度改善している』(三村明夫・日本商工会議所会頭)などと消費増税の実施を求めている。『景気は低迷しているが、リーマン・ショック当時とは違う』(経済官庁幹部)との見方がもっぱらだ。
ただ、安倍首相は、消費増税で『経済が失速しては元も子もない』との考えも示している。増税で景気が腰折れすれば、日本経済最大の課題であるデフレからの完全な脱却が遠のく。
実際、前回(14年4月)の消費増税以降、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費は低迷が続く。政府は前回の増税前、個人消費は増税後の数か月で元に戻ると見込み、14年度の実質GDP成長率をプラス1・4%と予測した。だが、実際はマイナス1・0%に落ち込んだ。内閣府によると、増税による個人消費の落ち込みだけで、実質GDPを1・7%程度押し下げたという。
個人消費は今も増税前の水準に戻っていない。総務省の2月の家計調査(速報)で、1世帯(2人以上)あたりの消費支出は、うるう年による影響を除くと実質1・5%減だった。それを踏まえると、6か月連続で前年同月を下回った。
消費の低迷に加え、急速に円高が進み、製造業を中心に企業心理を冷やしている。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれる前の5月18日には、16年1~3月期のGDP速報値が公表される。2期連続のマイナス成長に陥る可能性もあり、安倍首相は消費増税を延期するかどうか、難しい判断を迫られる」。
5月18日に、16年1~3月期のGDP速報値が公表されるが、2期連続のマイナス成長になる可能性が高い。個人消費が回復しないからである。消費税再増税凍結の判断に。