2013年12月15日 日経「迫真」「安倍政権1年3」「2度、3度で友人に」

日経の「迫真」に「安倍政権1年3」「2度、3度で友人に」が書かれている。

「『やっぱり首相は長くやらなきゃ駄目なんだ』。首相の安倍晋三(59)は月1回のペースで外国に足を運ぶノルマを自らに課してきた。『外交の空白を作った原因は1年で辞任した自分にある。政治は迷走し日本の国力が失われた』と首脳外交の重要性を周囲に強調する。

第1次安倍内閣の退陣以降、民主党政権時代を含めて首相交代は実に6年連続となった。その引き金をひいた自責の念が積極外交のベースにある。

安倍は『地球儀を俯瞰する外交』を基本方針に掲げる。この1年で米国やロシア、東南アジア、中東諸国など計25カ国を回った。訪問先で『前回に来た日本の要人は6年前の安倍首相でした』と言われることが少なくない。

8月に訪問したカタールもその一つだ。安倍は現地の経済界幹部を前に日本の存在感低下について『首相が1年で交代したら駄目という証左だ』とあいさつした。『しっかりと腰を据えて経済外交を展開していきたい』とも力説。競争相手の韓国は大統領が2007年からカタールを複数回訪れ、安倍とほぼ同時期に首相が立ち寄った。

安倍は10月、今春に行ったばかりのトルコを再訪した。9月の国際オリンピック委員会(IOC)総会で東京五輪の招致が決まったとき、最後まで争ったトルコの首相、エルドアン(59)は安倍のもとに駆け寄って祝意を伝えた。2人は5月の会談で、どちらに決まっても勝利をたたえ合おうと約束していた。

『エルドアンは約束を守ってくれた。こちらも誠意を尽くす』。安倍は周囲の慎重論を説き伏せた。日本が協力した海底トンネルの完成式典に出席し、原子力発電所の日本受注も本決まりとなった。安倍は強調する。『1度会うだけでは外交ではない。2度、3度、何度も話さないと本当の友人になれない』。

安倍の地球儀には『空白』がある。『全部塗りつぶすのが本当の地球儀を俯瞰する外交だけど、ここだけ白いんだよね』。

9月のニューヨークでの国連総会出席を控えた官邸の勉強会で、安倍は中国や韓国との関係悪化を念頭に出席者に語った。

第1次内閣の発足直後は、中韓両国を電撃訪問して周囲を驚かせた。『周りから温めればいつかは解ける。長期的にしっかりした関係を築きたい』。我慢強く対話を呼びかける考えを繰り返すが、首脳会談への道筋はまだ描けていない」。

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