2017年11月9日 朝日「トランプの時代、初のアジア歴訪」「対中国 強まる対抗姿勢」「軍拡や『一帯一路』に危機感』

朝日の「トランプの時代、初のアジア歴訪」に「対中国 強まる対抗姿勢」「軍拡や『一帯一路』に危機感』が書かれている。

「『膨大な借金を背負わされるのに、雇用につながらない。ちょっとしたことで借金が返せなくなれば、債務が株式に転換されて(所有権が移って)しまう』

ティラーソン米国務長官は10月中旬、アジアの新興国に対する中国のインフラ投資を強い調子で批判した。港湾建設などのため中国から多額の借金をしたスリランカが、高い金利返済に苦しみ、11億ドル(約1250億円)分の実質的な債務免除と引き換えに99年間、港湾を貸し出した例などが念頭にあるとみられる。『こんなのは国の成長を助ける仕組みではない』とも言い切った。

さらに、中国による南シナ海や東シナ海の強硬姿勢について、『周辺国の主権を侵害し、ルールに基づいた秩序に挑もうとする中国にひるむことはない』と対決姿勢を鮮明にした。

これまで対中関係を重視してきたティラーソン氏の変心に、中国外交筋は『予想外の批判に当惑している』と驚きを隠さない。

この発言について、米政府関係者は『国務長官1人の判断ではなく、政権の総意だ』
と説明する。

トランプ大統領のアジア初歴訪を控えた10月上旬、政権内のアジア担当者や元当局者らが数回、内部会議を開いた。習近平政権が打ち出す軍備拡張や、シルクロード経済圏構想『一帯一路』など対外膨張への危機感が相次ぎ、『米国や同盟国の主権や国際秩序への挑戦には強く対抗していく』ことが決まったという。

<北朝鮮対応 歩調そろわず>

トランプ政権はこれまで、北朝鮮の核・ミサイル問題での協力を得るため、中国との関係づくりを模索してきた。4月の米中首脳会談では、北朝鮮問題と貿易不均衡是正について『100日間』をめどに行動をとることで合意もした。

しかし、米側が期待したほど中国の協力が得られず、北朝鮮が米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)の2度の発射を許した。アジア政策に関わる米政府関係者は『中国が北朝鮮問題で本気で協力する気はなく、時間稼ぎの口実に過ぎない』と指摘。10月の中国共産党大会で権力集中を進めた習氏が、『米国や周辺国に対してより強硬姿勢に出る』とも懸念する。

実際、習氏は党大会で約30年後に世界トップレベルの経済力や軍事力、国際的影響力を持つ『社会主義現代化強国』を建設するとの目標を示した。欧米の価値観とは一線を画す『中国モデル』で、超大国づくりを目指す考えを明確にした。

ある党関係者は『当面は安定重視だが、中長期的には文字どおり<強国>を目指す強い姿勢で臨むことは間違いない』と指摘する。

トランプ氏は、ベトナム訪問中の演説で『自由で開かれたインド太平洋』構想を発表する。日本やインド、豪州などの民主国家と協力し、航行の自由や法の支配、公正で自由な貿易に基づく開かれた秩序を築く長期的な戦略を打ち出す。『一帯一路』を推し進め、アジアの新興国にインフラ投資などで関係を強めようとする中国に対抗する意図があるのは明らかだ。

その中国は、10月に5年に1度の共産党大会を終えた。それまで国内外の安定を最優先し、米国に批判されても強く言い返さず、対立を避けてきた。

習氏が、政権2期目の権力基盤を格段に高めたことで、外交に詳しい党関係者は『外交政策の選択の幅が広がる』と指摘する。習氏は、国内の対抗勢力の動きを気にせず、対外的に摩擦を恐れぬ強い対応もできるし、必要とあれば譲歩もできるというわけだ。

『貿易の不均衡や安全保障の問題について、率直に話しあうことができる』と期待する米高官もいる。

ただティラーソン氏は、トランプ氏の政策決定について『非常に短い時間枠で物事を成し遂げようとする傾向がある』」とも指摘する。米国が最も深刻にとらえる北朝鮮問題で、中国画目に見える協力をしなければ、反動も大きい」。

トランプ大統領はアジア歴訪中のベトナムで「自由で開かれたインド太平洋」構想を発表するという。日米同盟基軸の対中国包囲網構築である。安倍・トランプ蜜月の成果である。

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