2017年3月29日 日経に「森友問題強気と焦り」「首相、逃げ切り狙うが‥」「論戦長期化は誤算」

日経に「森友問題強気と焦り」「首相、逃げ切り狙うが‥」「論戦長期化は誤算」が書かれている。

「学校法人『森友学園』への国有地売却問題が混迷の度合いを増している。理事長退任を表明した籠池泰典氏は安倍晋三首相の昭恵夫人の関与を主張し、首相側は否定するが、双方ともに主張を裏付ける決め手の証拠が出せていない状況だ。長期化の様相を呈してきた問題を前に、首相の強気と焦りが交錯している。

『内閣支持率なんて気にしていない。40%を切れば別でしょうけど。やるべきことをやるだけ』。ある政府高官は首相が森友問題への答弁に追われた24日の参院予算委員会の後、こう自信を示した。

週明けの国会はなお森友問題を巡る与野党の攻防が続く見通しだ。27日午前の参院予算委集中審議や28日の参院決算委員会がその舞台となる。

<週明けに攻勢へ>

だが、与党内には『予算さえ成立すれば首相の出番が減る』との期待がある。27日には2017年度予算案が成立する見通し。これまでは予算案の審議のために連日、首相が集中審議に呼ばれたが、そうした機会は少なくなる可能性が高い。また、籠池氏の爆弾発言は証人喚問がピークだったのではとの推測もある。

週明けには政権側から攻勢に出る構え。首相は参院予算委で『出せるものはすべて出す』と強調し、24日に昭恵氏と籠池氏の妻の間でやりとりしたメールを公開した。

さらに、今後は籠池氏の妻が首相夫人付政府職員に送った手紙を公開することも検討している。籠池氏は昭恵氏に国への働きかけを依頼し、夫人付職員が財務省に問い合わせて回答のファクスを送ってきたと主張した。昭恵氏は籠池氏からの依頼は『具体的な内容は聞かなかった』としている。籠池氏の妻から職員への手紙が国への働きかけの依頼であれば、昭恵夫人が直接関与していた可能性を低める材料となり得る。

ただ、官邸側にはここまでの強気の思惑が裏目に出て、思わぬ長期化を招いてしまったことへの懸念もある。

『あの発言がなければ、ここまで引きずることにならなかった』。首相周辺はこう悔やむ。問題発覚直後の2月17日の衆院予算委員会。首相は強い口調でこう答弁した。『私や妻が関係していたとなれば、首相も国会議員も辞めると申し上げておきたい』

<尾を引く「退陣」>

首相の関与を示す明確な証拠はなく『首相が国会で否定すれば乗り切れる』。官邸スタッフらも自信をもっていた。だが『辞任』の一言は想定外。『100%否定したい気持ちの裏返しで表現が強くなったのだろう』。政府関係者は推測する。

政権追求の決め手を欠いてきた野党にとっては首相退陣に直結する言質であり、野党にとっては千載一遇のチャンスだ。ある官邸スタッフは『自分が野党議員でも取り上げ続ける』とぼやく。

首相官邸はこれまで海外のテロや自然災害などで菅義偉官房長官を中心に手際よく対応してきた。経験の蓄積もあり、危機管理は『得意』と自任する分野だ。だが、今回は籠池氏の言動を読み切れず、翻弄されてきた。

籠池氏の証人喚問をめぐる経緯にも、官邸側の思惑違いがにじむ。

当初、官邸は野党が求める籠池氏の国会招致には『何を言い出すかわからない』(政府高官)と否定的だった。だが、3月中旬、籠池氏が野党議員らに『昭恵氏から100万円の寄付を受け取った』と発言すると一転、証人喚問を認めた。

この時も背景にあったの『証拠はない』という自信だ。事実と証明できないならば、偽証罪に問われる証人喚問で籠池氏は踏み込んだ発言はできない――。官邸側はこう踏んだ。首相周辺も『籠池氏の発言がいかに根拠がないか国民に見てもらえばいい』と幕引きへの期待を示していた。

だが、籠池氏は昭恵氏から100万円の寄付を二人きりの『密室』で受け取ったと明言するなどと証言し、事態は逆に混迷の度を増した。

『本当かわからないものを立証する責任はそちらにある。ないものを証明するのは<悪魔の証明>だ』。首相は国会で苦しい心情を吐露した。

官邸側は強気の姿勢を押し通して逃げ切りたい構えだが、ある政府関係者は『最後は夫人が国会に出ざるを得ないのではないか』と楽観論に懸念を示す」。

籠池夫人のメールに辻元清美議員の名前が浮上、民進党がメディアに名前削除を要請したことで、潮目が変わった。民進党の辻元議員の黒幕疑惑である。昭恵夫人ではなく、辻元清美議員の証人喚問をとなるが。

 

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