2016年7月8日 日経「参院選終盤情勢」「1人区の7割自民先行」「野党共闘、依然広がり欠く」「比例も与党優位続く」

日経の「参院選終盤情勢」に「1人区の7割自民先行」「野党共闘、依然広がり欠く」「比例も与党優位続く」が書かれている。

「日本経済新聞社が実施した終盤情勢調査で、32ある1人区(改選定数1)の約7割にあたる23選挙区で自民党候補が先行していることが分かった。与党は序盤からの堅調な勢いを維持しており、民進、共産、社民、生活の野党4党は1人区で候補者を一本化した共闘効果がなお広がりを欠いている。比例代表でも与党優位の情勢が続いている。

<重視政策ズレ>

参院選の1人区は、与野党が議席を分け合うことが多い改選定数2以上の複数区と異なり、与野党の勝敗結果がはっきりする。与野党は終盤に向けて幹部を投入しテコ入れを急いでいる。

終盤情勢で自民党が1人区で先行するのは23選挙区で、序盤調査時点と比べると1選挙区増。このうち自民党が野党を大差でリードしている選挙区も16選挙区から19選挙区に広がっており、終盤にかけて自民党が1人区での支持を伸ばしていることがうかがえる。

一方、野党は32ある1人区すべてで候補者を一本化し、複数の野党候補による競合を避けたが、支持を伸ばせていない。

自民党が堅調な背景には、野党側の選挙戦略にも原因がありそうだ。情勢調査で投票時に重視する政策を聞いたところ、最も多いのが『年金など社会保障』で34%。野党が1人区で共闘の柱の一つとして反対を訴える『憲法改正』は10%にすぎない。野党が批判を強める『アベノミクス』も、『評価しない』と答えた人のうち選挙区で民進党に投票するとの回答は26%にとどまる。野党がアベノミクスへの批判票の受け皿になりきれていない現状が浮かび上がる。

<共産勢い維持>

序盤で接戦だった14選挙区をみると、野党側が終盤で支持を伸ばした選挙区は山形、長野の2選挙区のみ、序盤調査で野党共闘の効果が鮮明だった東北地方では、岩手で自民党が野党を追い上げて差を縮めたほか、秋田では自民党が野党との差を広げた。序盤で野党が苦戦を強いられていた西日本地域では三重、大分でも僅差ながら自民党候補に逆転を許した。

比例代表でも与党の優勢は揺らいでいない。過去最少となる25人に候補者を絞り込んだ自民党は18人程度の獲得が有力。公明党も目標の7議席確保を達成しそうだ。民進党は比例で7議席にとどまった前回を上回るものの、議席獲得が有力なのは序盤調査より1議席少ない11議席となった。共産党は7議席程度得る見通しで、過去最多の8議席を得た1998年の参院選に迫る勢いは変わっていない。おおさか維新は関西圏で支持を伸ばし、序盤調査から1議席多い4議席となり、議席ゼロの可能性があった社民党も九州を中心に支持を集め、1議席の獲得が有力になっている。

≪複数区、与党5割超獲得も、野党、民共競合が響く≫

改選定数が2以上の複数区でも与党は堅調で、すべての選挙区で議席を着々と固めつつあり、計41議席の5割超を得る可能性がある。自民党は2人擁立した北海道、東京、千葉の3選挙区のうち、東京、千葉で2議席の獲得をうかがう。その他もおおむね優位に立っている。神奈川では与党系の無所属候補も当選する可能性があり、党幹部が連日、支援に入っている。

公明党も序盤の勢いを維持している。今回から定数が増えた愛知で9年ぶり、兵庫と福岡で24年ぶりに候補を擁立し、計7人に増やした選挙区の候補がいずれも当選を視野に入れている。

一方、1人区で共闘している野党は、複数区ではそれぞれ候補を立てて競合している。政権批判票が分散し、共倒れの懸念がでている選挙区もある。典型が大阪や兵庫だ。民進、共産両党が競い合い、現時点では両党の候補とも当選有力圏内に入っていない。改選定数4の愛知でも最後の議席を民進党の2人目と共産党が激しく争っている。民進党は旧民主党時代から支持基盤が固い北海道で2人の当選をうかがう。共産党は2013年に続き東京での議席獲得を確実にし、神奈川でも議席を得るのが有力になっている。終盤に入って公明党と共産党の議席争いも激化。埼玉では最後の議席を両党が競い合う。大阪、兵庫では公明を共産が追う構図だ。

おおさか維新の会は地元の大阪で2議席の獲得を射程に入れ、兵庫でも民進党などを抑えて有利に戦いを進めている。ただこれ以外の選挙区では議席獲得は難しい。社民、生活、日本のこころを大切にする党、新党改革は選挙区で議席を得るのが困難な情勢だ」。

41議席の複数区で自民党が15議席、公明党が7議席と与党で22議席と5割超を確実にしている。民共が共闘できず、競合しているからである。オウンゴールである。

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