2016年3月10日 日経「安倍カレンダー『経済が重み』」「消費増税?衆参同日選?」「GDP・賃上げ・サミット・・政治判断のカギ握る」

日経に「安倍カレンダー『経済が重み』」「消費増税?衆参同日選?」「GDP・賃上げ・サミット・・政治判断のカギ握る」が書かれている。

永田町で経済関連の指標や国際会議への注目度が一段と高まってきた。安倍内閣の支持率に影響を与えるだけではない。2017年4月に予定通り消費税率を10%に引き上げるか、7月の参院選に合わせて衆参同日選に踏み切るか、安倍晋三首相が政治判断を下す大きな要素になるからだ。政治カレンダーで『経済』の重みが増している。

『終値はいくら?』。16年度予算案の審議が続くなか、ある閣僚は国会答弁が終わると秘書官にたびたび日経平均株価を尋ねる。首相も官邸の執務室に置かれた株価ボードで値動きを見ているという。与党幹部は『スマートフォンで株価をチェックする頻度が上がった』と話す。

<株価にやきもき>

株価にやきもきするのは、経済の動向が今後の政権運営を左右しかねないからだ。今年7月に参院選、17年4月に消費再増税を控え、首相は衆参同日選と消費再増税の可否という重要判断を下す時期がくる。

株価が順調に回復すれば、衆院解散の好機になる。一方で景気が足踏みして世界経済の悪化も鮮明なら、消費増税を先送りする選択肢が取り沙汰される。増税先送りは衆院解散に打って出る理由になる。

もちろん国内経済が良ければ、消費増税は予定通りの方向で秋ごろに最終判断することとし、7月の衆参同日選は見送るシナリオも想定できる。経済指標が悪すぎる場合、衆院を解散すれば議席が大幅に減るため、解散できる環境は整わない。

経済関連の国際会議にも関心が集まる。最大の照準は5月下旬の主要7カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)。世界経済の現状をどう認識し、政策を打ち出すかが焦点になる。G7で『内需拡大』を目指す方針で一致すれば、財政出動に動き、消費増税は見送りに傾くかもしれない。

4~5月には20カ国・地域(G20)、G7の関係閣僚会議が集中する。2月のG20財務相・中央銀行総裁会議は財政出動を含む政策総動員を確認した。

世界経済を分析するため首相は関係閣僚と有識者の意見交換の会合を新設した。来週から5月まで5回以上開き、サミットの議論に反映する。首相は消費増税の見送りの条件に『世界経済の大幅な収縮』を挙げる。

自民党幹部は『会合で<世界経済が収縮する可能性>を示せば、増税見送りの根拠になる』と話す。ただ『大幅な収縮』とまで言い切れるか、経済官庁幹部には現時点で否定的な見方が多い。

『過去2年の大幅賃上げの流れをさらに進めてほしい』。首相は4日の官民対話で表明した。3月は春季労使交渉の回答が集中する。賃上げが不十分なら首相が唱える『賃上げと投資による好循環』が揺らぐ。3月末の株価は、3月期末決算企業の業績に直結する。

<景況次第で補正>

国内経済では4月1日の日銀短観、5月18日の1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が重要になる。景気悪化が鮮明ならアベノミクスへの期待が薄れる。政府は5月に経済対策をまとめるが、景況次第で、5~6月に16年度補正予算案の編成を指示する案もある。

かつては「竹下カレンダー」と呼ばれる日程表が出回った。国会対策の達人とされた竹下登元首相が大蔵省(現財務省)と共同して予算審議の日程を組んだ。いまの『安倍カレンダー』は経済関連の比重が大きく、日程戦略は市場に揺さぶられる」。

安倍カレンダーの軸は、7月の衆参同日選ありきである。争点は、3つである。政権選択、消費税再増税凍結、憲法改正である。7月の同日選までに、日経平均株価2万円台回復、個人消費回復が必須となる。消費税再増税凍結が大前提での財政出動である。16年度補正予算による大型減税実施である。景気回復させた上での衆参同日選となれば、民意の多数は安倍政権継続となり、改憲勢力で衆参で3分の2以上の議席確保となるが。

問題は、民意にアベノミクス継続の是を認識させることが大事となる。野党にアベノミクスの対案は作れないからである。そもそも、アベノミクスがグローバル・スタンダードだからである。

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