宇都宮健児氏インタビュー「若者がどう政治に関わっていけばいいか」
今まで過去の運動に問題から、今後の経済福祉、非常に吃緊の問題なのにもかかわらず、特に若い人が、一時的に盛り上がったあとに長期的なコミットメントができない、こういった話をいろいろうかがってきました。
最後にメッセージを含めてお聞きしたいのが、今後若い人がどういうふうに政治に関わっていけばいいのか、あるいは政治のどういった部分、どういった政策、どういった候補者をどういった目で見ていけばいいのか、一言メッセージをいただけますか。
宇都宮:まず、18歳で選挙権が与えられたんで、それで関心を持つ人が増えたと思いますけど、それをきっかけにどんな問題でもいいですから、地域の問題、広くは国の問題、どんな問題でも、学校の中だけの範囲だけでなくて、もう少し広く外に目を開いて、関心のある問題について勉強してみるとか、取り組んでみるとか。一人で無理なら何人かで、社会に目を開いてもらいたいということ。
それから、冒頭に話しましたけど、日本は国民主権というふうに憲法で決められているんですけど、主権というのはどうして行使するかというと、家の中で座って「主権があるんだあるんだ」と念仏のように唱えていてもだめなんですね。
主権は選挙を通して選ばれた代表者を通じて行使することになっていますので、一番重要な主権行使の場というのは選挙なんです。
それに対して、ちゃんと向き合う。「どうせ一票投じても世の中は変わんないや」と言うんじゃなくて、多くの若者が関心を持って投票すれば、社会を変えることも可能なんです。
今年の三月か四月だったか、韓国で国政選挙があって、その事前の予想は与党が圧勝、野党惨敗だったんです。ところが結果は野党が勝利したんです。
この勝利の大きな要因は20代30代の選挙判断なんですね。それは前回の国勢選挙と比べて、20歳代の投票率が20%上がっているんです。30歳代が6%上がっているんです。40代50代60代は前回と同じですけど。
韓国というのは日本以上に貧困と格差が広がっていて、二人に一人が非正規労働者なんです。
そして本当に夢も希望も持てない、結婚もできないという、そういう絶望的な状況の中で学生達が投票に行こうと、それから若い労働者が青年ユニオンとか、アルバ労組という、アルバイト労組なんかの人達が連帯して選挙の投票行動を呼びかけたわけです。それで上がって、ひっくり返ったんです。
だから、そういう若い人達がもっと政治に関心を持てば、若者の今置かれている状況も変える大きな力になるということです。
今あることはどうしようもないんだという絶望に陥らないで、人間が作った制度というのは人間が変えることができるんですね。
今の日本は、若い人の死亡原因で一番多いのは自殺なんです。20歳代は亡くなった人の二人に一人が自殺なんです。これは今若者が置かれている状況を反映していると思います。絶望的な状況。
若い人が未来とか将来に希望が持てない社会というのは終わりですよ。
だから若い人こそ政治に関心を持つ、そして立ち上がる、声をあげる、これが日本を変えていく大きな力になるし、年寄りはいずれ死んでいきます。あの世に行きますんで、若い人こそ日本を変えていく、日本を支えていく中心だと思いますんで、ぜひ社会に、政治に関心を持ってもらえればと思っています。