2015年3月23日 日経「けいざい解読」 滝田洋一・編集委員「税収上振れ、バブル期並み?」「成長生かす財政再建を」

日経の「けいざい解読」に滝田洋一・編集委員が「税収上振れ、バブル期並み?」「成長生かす財政再建を」書いている。

「所得税の確定申告の期間が16日に終わったが、いま日本では税収が上振れしている。企業の経常利益が過去最高となったうえ、賃上げで個人の所得も増えているからだ。

国税のうち所得税、2014年度は今年1月末までの累計で13・1兆円と、前年同期比で11%増えた。法人税の場合は同19%増加している。

消費税も同じく25%増加した。ただし消費税は14年4月に税率を上げている。そこで消費税を除く税収をみると、今年度は1月末までの累計額で9%増えた。

政府と民間の資金の流れもこうした動きを裏付けている。『財政資金対民間収支』をみよう。15年1月の税収は前年同月比14%増、2月は同9%増となっており、3月は同22%増の見込みだ。2月、3月の税収もこの調子なら、14年度の消費税以外の税収は39・3兆円にのぼる。これに消費税の見積額15・3兆円を加えると、14年度の国の税収総額は54・6兆円になる勘定だ。

当初予算、補正後、決算と時がたつほどに出世魚のように税収が上振れするのは14年度に限ったことではない。安倍政権の誕生以降、12年度と13年度も決算時点の税収は当初予算での見積もりを、それぞれ1・6兆円、3・9兆円上回っている。

この勢いは15年度も続くかもしれない。円安、金利安、原油安の追い風が吹き、企業収益増や資金増で経済の体温も上がりだした。引き続き税収が上振れすると判断してもおかしくあるまい。

15年度の税収見積もりは当初予算時点では54・5兆円。14年度当初の税収見積もりに比べれば、金額にして4・5兆円多い。ただし14年度の税収額が54・6兆円まで膨らむとなると、15年度当初の税収見積もりはいかにも控えめな感じがする。
足元の実勢に基づいて、税収を試算してみよう。消費税を除く税収の伸び率が13年度と14年度の平均である8%余りと仮定すれば、15年度の税収は締めて59・6兆円に増える勘定となる。

税収が60兆円台に乗せたバブル期並みというのは、いくら何でも出来すぎでは?そう思い何人かの民間エコノミストに、恐る恐る聞いてみた。さすがに『この調子で企業収益が伸びる保障はない』と、楽観をたしなめられたりはした。それでも、税収が上振れしていることを否定するエコノミストはいなかった。

もちろん税収増をいいことに、歳出削減をさぼってはいけない。好不況と関係なく高齢化の進展とともに、年金、医療、介護の社会保障費は着実に増加するからだ。総合研究開発機構(NIRA)は広範な社会保障改革を提言したが、財政赤字の削減幅は3・4兆~5・5兆円。追い風が吹いているときに、もう一汗かいてこそ財政の信認も回復する」。

14年度の国の税収総額は54・6兆円に、15年度は59・6兆円になる見通しだという。税収60兆円台はバブル期並みとなり、17年4月の再増税は不要となるが。

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