2014年10月29日 日経「習近平体制2年」「目指すは『中興の祖』」「皇帝範に『法治』掲げ集権」
日経に「習近平体制2年」「目指すは『中興の祖』」「皇帝範に『法治』掲げ集権」が書かれている。
「着実に権力基盤を固める中国の習近平国家主席は党内での腐敗追求の手を緩めず、さらに軍への統制も強める。習氏を支持する共産党員からは早くも、習氏を『共産党の中興の祖』と褒めそやす声も出ている。
『習氏の任期を5年延ばし、2027年までの3期15年にすべきだ』。党関係者によると、8月上旬、河北省の避暑地で習氏ら最高指導部と党長老らが意見を交わした『北載河会議』で、すでに引退した老幹部28人が共同で習氏の任期延長を提案したという。
この提案が習氏からの腐敗追求を恐れる老幹部の単なるゴマすりだとしても、習氏の権力掌握が、まだ指導部発足から2年足らずとは思えないほどの勢いであることを疑う者はいない。それどころか習氏を巡っては、大統領からいったん首相に退き、再び大統領に復帰したロシアのプーチン大統領の方式を狙っているとの見方がくすぶる。
中国の憲法は国家主席の任期を1期5年と定め、3期連続で就くことを禁じている。ところが共産党規約は党総書記の任期の上限を定めていない。習氏が2期10年で国家主席を退いても、総書記に居座って権力を維持し、5年後に再び国家主席に復帰することは理論上、不可能ではない。
『わきまえを知る者、時に応じて変化し、知恵ある者、事に応じて法規も変える』。習氏が党内の演説で好んで引用するのが、前漢の『中興の祖』と呼ばれた皇帝、宣帝の故事だ。
宣帝は平均在位年数が15年ほどの前漢皇帝で在位25年の長さを誇る。法家主義を掲げる一方、腐敗対策を徹底するなど官僚機構の引き締めを図った。自ら倹約に務め、民生改善にも取り組んで大衆の支持を得た。
党総書記就任後、倹約令や反腐敗の方針を相次いで打ち出し、23日閉幕した党の重要会議、党中央委員会第4回全体会議(4中全会)では新たに『法治』を掲げた習氏。まるで自身を宣帝と重ね合わせているようだ。
実際、両者の足跡に共通点は多い。宣帝は皇族に生まれながら親族の不祥事で皇族を追われて民間で育った。一方、文化大革命で批判された党幹部を父に持つ習氏は、16歳で北京から地方の農村に下放されている。
習氏は『中興の祖』となるべく着々と手を打っている。4中全会で掲げた『法治』は、習氏の国家統治の考え方を法律に組み込んでいく意思の表れ。習氏の影響力は法律の中で今後長らく生き続けることになる。
党内に依然残る党長老の影響力とも対峙すべき時は来る。習氏は自分を国家主席に推した江沢民元国家主席とその一派の影響力を弱めるべく、党内情勢を慎重に見極めている。宣帝は自分を皇帝に推した 光の死後に一族を処刑している。ただ、歴史は都合の良い前例ばかりではない。徹底した法治主義を掲げた始皇帝による秦は15年で滅んだ。『法治を唱えた皇帝の多くが短命だった』。党関係者は法による締め付けは一時的に成功しても、必ず大きな反動がくると指摘する」。
習近平国家主席は「共産党の中興の祖」足るべく、2027年までの3期15年を目指し、「法治主義」を掲げているが、同じ「法治主義」を唱えた始皇帝の秦が15年で滅んでいることを見るとき、中国共産党一党独裁体制の崩壊は近いとなる。中華人民共和国は1948年9月9日建国から70年を超えられないから、2018年末までに崩壊となるが