2014年6月17日 日経 社説 「JA全中の指導権限廃止は必須条件だ」

「自民党をぶっ壊す覚悟」

日経の社説に「JA全中の指導権限廃止は必須条件だ」が書かれている。

「政府の規制改革会議は農業協同組合の組織刷新、農地売買の許可権限を握る農業委員会の見直し、企業の参入規制緩和といった農業改革策を決めた。どれも農業の競争力強化に欠かせないものだ。若い人が魅力を感じ、仕事にしたいと考える農業に変える。その目標に向けて改革を断行してほしい。

政府は昨年、都道府県ごとに設立する農地の管理機構を軸に農地の集約・拡大を推進することや、2018年の生産調整(減反)廃止を決めた。今回の焦点は農協組織の刷新だ。

規制改革会議の作業部会が5月に提言した全国農協中央会(JA全中)の『廃止』は、与党内での議論を踏まえて後退した。しかし、農協の組織と機能を本当に変えられるかどうかは、政府が来年の通常国会に提出する農協法改正案の中身にかかる。

農協組織の頂点に立つ全中が経営指導で地域ごとの農協を縛る権限をなくし、個々の農協、農家の創意工夫を伸ばす環境に変えることは改正案の必須条件だ。安倍晋三首相は『地域の農協が主役となり、農業の成長産業化に全力投球できるように抜本的に見直す』と明言した。改正案はその決意にふさわしい内容にすべきだ。

政治活動の資金源として、全中が地域農協などから賦課金を集める制度もなくすべきだ。

規制改革会議は、農産物の販売などに携わる全国農協連合会(JA全農)に対し株式会社への転換を求めた。経営意識を高め、資材の販売価格や農産物の出荷コストをなるべく安くする。農家の経営に貢献し、農業の生産力を高める農協の目的に照らして当然だ。

農家が農協組織を通じて農産物を共同で販売したり、資材を共同で購入したりする行為は独占禁止法の適用から除外されている。小規模な農家の立場を守るためだ。

ただ、どの農家の農産物も同じように扱う共同販売では、優れた農産物を作る意欲は生まれにくい。共同販売の仕組みを残すにしても平等主義を改め、農家の意欲を引き出す工夫は要る。

農協の構成員で農家以外の『准組合員』が多くなっている現状を是正するルールも必要だ。これを機に、農家のための組織である農協本来の姿に戻るべきだ。政府は農協の組織刷新を含め、今後5年を農業改革の集中期間と位置付けた。農家の高齢化を踏まえれば一刻の猶予も許されない」。

「規制改革会議の作業部会が5月に提言した全国農協中央会(JA全中)の『廃止』は、与党内での議論を踏まえて後退した。しかし、農協の組織と機能を本当に変えられるどうかは、政府が来年の通常国会に提出する農協法改正案の中身にかかる」は、正論である。JA全中の全国約700の地域農協への指導権限付与を廃止できるかが、肝となる。

問題は、JA全中の存亡がかかっているから、全中は死にもの狂いの抵抗をすることである。農林族議員を核に抵抗勢力の拡大を図る。そこで問われるのが、安倍首相の覚悟である。自民党をぶっ壊す覚悟で、JA全中廃止の農協法改正案を、来年の通常国会で成立させるのか、である。安倍首相は、4月の統一地方選を控えて、小泉首相(当時)の05年の「郵政解散」時と同じ「自民党をぶっ壊す覚悟」が問われている。

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