2022年11月22日 首相判断また後手に
葉梨康弘衆議院議員の法相辞任が急転直下に進行した。事実上の更迭になるが、野党は岸田首相の判断力を問題視している。国民の多くも一連の大臣辞任劇には懸念をもっていることであろう。 まさに岸田首相のリーダーシップが問われている。今回の件は死刑執行を命じる法務大臣が、笑い話の冗談で済む内容の発言ではない。首相は11日午前の参議院本会議で野党からの辞任要求に対して否定していた。だが数時間後には事実上の更迭判断をした。
葉梨前法相は辞任理由について、死刑という言葉を軽率に扱い、国民並びに法務省職員に不快な思いをさせ、国会日程にも影響を与え内閣にも迷惑をかけたとの事である。葉梨氏は10日夜には首相に出処進退を相談して、首相からは国民に説明責任を果たしていくようにとの指示であったとの事である。翌午前中は続投の意向を示していたが午後には辞任している。
首相判断の迷走ぶりは、繰り返される度に、比例して支持率低下に繋がっている。リーダーの優柔不断による影響は11日午後のアジア歴訪外交日程にも影響した。公明党幹部からは(閣僚更迭の迷走で外交を危ぶませるなど前代未聞)との声も上がっている。
12月10日に会期末を迎える国会は、政権運営に不透明感を増している。予算委員会に於いては旧統一教会問題、山際前経済再生相や葉梨前法務大臣の辞任をめぐる事案、直近では寺田大臣の事実上の更迭、首相の任命責任追及は必至であろう。それにとどまらず、秋葉復興相の政治資金の問題では釈明に追われている。自民党内でも辞任ドミノ後を懸念する声がある。与党国対委員の幹部からは、事態悪化の原因は官邸であるとの嘆きも出ている。
岸田首相は参議院選挙の勝利によって自ら衆議院を解散しない限り、暫く選挙が無いゴールデンタイムを手に入れた筈だった。本来の政権重要政策である物価高対策、安全保障など審議が目白押しであるが、受身の釈明に追われている現状で来年の統一地方選挙も心配される中、衆議院解散時期までささやかれる様になった。ある与党幹部からは短期政権で終わるのではと自虐的未来予想をしていたが、この様な事態に一番迷惑を受けるのは国民である。首相周辺の方々は軋轢が出ても公僕として何をすることが優先かを進言して頂きたい。