2017年8月25日 日経「民進の存亡握る『非自民+α』」『増税・福祉拡大に活路」「野党共闘に溝、再編含み」
日経に「民進の存亡握る『非自民+α』」『増税・福祉拡大に活路」「野党共闘に溝、再編含み」が書かれている。
「民進党は21日、党代表選を告示し、前原誠司元外相、枝野幸男前幹事長が立候補を届け出た。今回の代表選ではデフレ克服や少子高齢化に向かうアベノミクスの対案を訴えようとする意欲はみてとれる。『非自民+α』をどこまで示せるかが、存亡の危機を迎える民進党再生のカギを握る。一方、党運営をめぐる摩擦もくすぶっており、代表選後の道は平たんではない。
前原氏は慶応大の井出英策教授との交流の中で構想した『All for All(みんながみんなのために)』の理念を提唱。枝野氏は『お互いさまに支え合う社会』を掲げる。
2人の主張の方向性はおおむね一致する。社会保障を充実させ、将来への不安をなくすことが個人消費の喚起につながり景気回復、経済成長にもつながる――。金融緩和や財政出動で経済成長を目指すアベノミクスとは異なるボトムアップ型の分配政策で、一定の増税を前提にする。2012年の第2次安倍政権発足後、野党第1党で初めてアベノミクスの対案が本格的に議論されると言っていい。
安倍政権の新自由主義的な経済政策に対して、社会民主主義的な対立軸が明確になる意義はある。
安倍晋三首相は『人づくり革命』や『働き方改革』を掲げ、格差是正を意識した政策で『左』にウイングを広げている。しかし、保守層に支えられる安倍政権には限界がある。配偶者控除を廃止し、夫婦なら片働きでも共働きでも一定の控除を受けられる『夫婦控除』の創設が見送られたのはその典型だ。
財源論では前原、枝野両氏の主張は微妙に異なる。前原氏は消費税を含めた増税が必要との立場で、枝野氏は当面の消費増税を否定しつつ法人税の引き上げなどで賄う考えだ。介護や保育分野の所得底上げを『景気対策』と主張し、一時的な赤字国債の発行も容認する。
いずれの主張も疑問は残る。福祉財源は増税で賄うとしても1000兆円を超える国の借金はどうするのか。道筋は示されていない。前原氏は消費税率の10%への引き上げは認めるものの、その先は『全く白紙』と強調。枝野氏は10%への引き上げも否定する。
民進党の課題はガバナンスの欠如にもある。消費増税を巡り、分裂した旧民主党時代の体質を今も引きずる。昨年9月、蓮舫氏は党内の圧倒的な支持を得て代表に選出されたが、原発政策、憲法改正、野党共闘などを巡り方向性を示せず孤立を深めた。
21日の記者会見では、共産党を含む野党共闘や東京都の小池百合子知事との連携を巡る前原、枝野両氏の方針の違いは鮮明だった。共産党との協力関係を維持するのか、小池氏らとの連携にカジを切るのか――。党の立ち位置を巡る党内の路線対立は根深く、新代表は難しいかじ取りを迫られる。足元では離党者も相次いでおり、代表選後には党の分裂や野党再編含みの展開になる可能性も否定できない」。
前原氏は非自民+小池新党、枝野氏は非自民+共産党である。直近の産経・FNN調査で国政選挙で小池新党に投票するが35・6%もあるから、代表選は前原氏の勝ちとなるが。