2017年5月25日 日経「米政府内ロシア疑惑リーク合戦」「トランプ氏に反発』『捜査介入、疑い色濃く』

日経に「米政府内ロシア疑惑リーク合戦」「トランプ氏に反発』『捜査介入、疑い色濃く』が書かれている。

「トランプ米政権によるロシア関与疑惑『ロシアゲート』をめぐり、米政府内で情報戦の様相が強まってきた。トランプ大統領が機密情報をロシア側に話した件や、コミー前米連邦捜査局(FBI)長官の解任に関して、ホワイトハウス高官や当局関係者から連日のように内部情報がメディアにリークされるという異常な状態だ。背景には政府内にトランプ氏への不満が蓄積していることがあるとみられている。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などは16日、トランプ大統領がロシアのラブロフ外相、キスリャク駐米大使に漏らしたのは、イスラエルが米国に提供した機密情報だったと伝えた。現職および退任した米当局者が情報源だという。

トランプ氏が漏らしたのは過激派組織『イスラム国』(IS)のテロ計画と、情報機関協力者がテロを探知した都市名などとされる。閣僚でもごく一部しか知らされておらず、トップ・シークレット(最高機密)を超える『コード・ワード』と呼ぶ機密中の機密といえる情報だったという。

トランプ氏は『私は(情報共有の)権限を持っている』とツイッターで主張。漏洩に違法性はないとみられるものの、同盟国との信頼を損ないかねず、情報機関は激怒している。協力者が活動する都市名から本人が特定されれば命にかかわり、協力が今後得られなくなる恐れもあるためだ。

イスラエルの情報当局者は米メディアに対し、情報提供国と調整せずに情報を共有することは『極めて不適切だ』として、トランプ氏の行動に『激しく怒っており米に回答を要求している』と述べた。別の欧州当局者はAP通信に『我々の情報源を危険にさらす可能性がある』と述べ、米との情報共有を中止する可能性について言及した。

またニューヨーク・タイムズは16日、フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の捜査を終結するようトランプ氏がコミー氏に要請していたと報じた。コミー氏が書き残したトランプ氏との会話メモを読んだ2人が情報源という。これが捜査妨害の証拠になるとの指摘が出ている。

トランプ氏が就任直後の1月末、コミー氏との夕食の場で自分に忠誠を誓うよう求め、コミー氏が拒否したとの報道もあった。コミー氏は政権幹部との会話をメモに残す習慣があったという。

内部関係者からの相次ぐリークを受け、トランプ氏は長女の夫のクシュナー上級顧問を含めた側近たちを『役立たず!』と罵っているとニューヨーク・タイムズは伝えた。2人の大統領顧問からの情報だといい、トランプ氏の動静が逐一漏れているのが現状だ。

ロシアゲートは米大統領選にロシアが介入したとの疑惑が発端だ。選対会長を務めたポール・マナフォート氏がウクライナ前政権やプーチン大統領に近い人物から金銭を受け取っていた疑惑などで辞任。フリン氏も駐米ロ大使との接触を巡り政権内で虚偽報告をした疑惑で更迭された。FBIは捜査を進めており、9日のコミー氏の解任は、同氏が捜査体制強化を進言した直後だった。

ロイター通信によると、ロシアのプーチン大統領は17日の記者会見で、『トランプ大統領はロシアのラブロフ外相との会談中に機密情報を漏らしていない』と擁護した。そのうえで米国の議員らに会談の議事録を見せる用意があると表明した」。

問題は、「ロシアゲート」が第2のウォーターゲート事件となり、トランプ大統領弾劾にまで至るのか、である。弾劾がなるには、下院の過半数、上院の3分の2の賛成が必須となるが、上下両院とも共和党が過半数を制しているから、弾劾は難しいとなるが。ウォタゲート事件でのニクソン大統領の辞任は、上下両院とも民主党は過半数を制しており、弾劾が成立するからその前に辞任を、である。

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