2016年12月5日 日経「『トランプ円安』止まらず」「大統領選後、12円下落」「欧米投機筋が拍車」

日経に「『トランプ円安』止まらず」「大統領選後、12円下落」「欧米投機筋が拍車」が書かれている。

「トランプ氏が米大統領選で勝利を決めてから半月あまり、外国為替市場で円安・ドル高の流れが止まらない。積極的な米財政政策の観測で日米金利差が拡大しており、ヘッジファンドなどの円売り・ドル買いが勢いを増しているためだ。『トランプ相場』に乗り遅れまいとする投資家によって、円売りが円売りを呼ぶ展開になっている。ただ今後の米為替政策には懐疑的な見方もある。

<日米の金利差拡大>

円相場は25日に一時、1ドル=113円90銭まで下落し、3月中旬以来約8カ月ぶりの円安水準を付けた。米大統領選後でみると12円超も円安が進んだことになる。

『トレンドフォロワー(順張り派)が円安を加速させている』。市場参加者が指摘するのは、相場の流れに乗って利益を得ようとする欧米ヘッジファンドの存在だ。

円相場は日本時間の午後5時ごろになると、じわりと円安圧力が強まる展開が目立っている。この時間はロンドンの午前8時にあたり、欧米のファンド勢が動き出す時間と重なる。

順張りで動くコンピューター取引が拍車をかける。感謝祭でディーラーが少なかった24日の米国市場で、するすると円安・ドル高が加速する場面があった。アジアや欧州市場の流れを受け『機械による売買が相場を動かした』(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作氏)という。

米商品先物取引委員会(CFTC)によると、ヘッジファンドなどの投機筋の円の買越し幅は大統領選当日の3万1956枚から、わずか1週間で35%縮小した。ファンド勢が猛烈な勢いで円売りに動いた証拠だ。円安のペースが衰えておらず『投機筋はすでに円の売り持ちに転じた』との指摘がある。それでも『海外投機筋の円売り余力はまだある』(あおぞら銀行の諸我晃氏)との見方は根強い。

円売りの流れを支えているのが、日米金利差の拡大だ。大型減税やインフラ投資などのトランプ氏の政策が米国の成長期待とインフレ観測を高め、米10年債利回りは1年4カ月ぶりに一時、2・4%程度まで上昇した。一方、日本では日銀が長短金利操作のもとで10年債利回りをゼロ%近くに抑え込んでおり、金利差が開きやすくなっている。

日米の10年債でみた金利差はアベノミクスが始まって以降で最大の2・3%超に広がった。高い金利に吸い寄せられ、投資マネーが円からドルに流れ込んでいる。

JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉氏の試算によると、円相場は大統領選後、日米金利差が0・1ポイント拡大するごとに2・97円下がっている。大統領選前は同じだけ金利差が広がっても1・56円しか動かなかったが『反応が大統領選を機に大きくなった』(棚瀬氏)。純粋な金利差の影響に加えて、米金利上昇と円安がまだまだ進むという見方が相場を動かしている面もある。

円安はどこまで進むのか。市場参加者が警戒しているのが、トランプ氏や周辺によるドル高けん制発言だ。米国の製造業への配慮をテコにして選挙戦の勝利をつかみ取ったトランプ氏だけに、『このままドル高を容認するとは思えない』(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)との見方が根強くある。ツイッターなどを通したネット上での情報発信も目立つトランプ氏だけに、相場の流れを変える一言がいつ飛び出るかは分からない。市場参加者は警戒を強めつつも、おそるおそるトランプ相場に乗り続けている」。

円安はどこまで進むか、である。日米金利差の拡大をてこに、1ドル=120円台まで進むとみられる。来年1月20日の大統領就任式まで。その後は1ドル=115円台の円高に。

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