2013年9月21日
日経に「法人減税『まず復興税分』」「首相指示、政権内に慎重論も」が書かれている。
「政府は18日、来春の消費増税に備えた法人実効税率の引き下げで最終調整に入った。安倍晋三首相は同日午後、麻生太郎副総理・財務相と首相官邸で会談し、復興特別法人税の廃止前倒しなど段階的な法人税率下げを指示。首相が10月1日に予定する消費増税の最終判断に向け、政府・与党内の駆け引きは大詰めにさしかかった。
政府は消費増税による景気腰折れを避けるために5兆円超の経済対策を月内に取りまとめる方針だが、柱の一つとなる法人実効税率の引き下げを巡り温度差が広がっていた。首相は来週23~28日の日程で米国やカナダを訪れる予定。経済対策の骨格を週内に固めたい意向とみられ、法人税率の引き下げ方を具体的に指示した。
首相や甘利明経済財政・再生相らは主要国と比べて高い法人実効税率の引き下げを成長戦略の新たな柱として前面に打ち出したい考え。日本企業の競争力を高めるとともに海外企業を日本に呼び込んで、雇用拡大や賃上げにつなげるシナリオだ。
首相は18日夕、官邸で開いた『ものづくり日本大賞』の授賞式で『成長戦略を実行し、全国津々浦々に成長の実感を届けたい』と強調した。経済界にも税率下げへの期待が高まっている。
一方、麻生財務相は法人税率を下げても企業は内部留保に回す可能性があり、設備投資や賃上げの促進に的を絞った政策減税の方が効果が大きいと主張。法人税率下げは1%で約4千億円の税収減につながり、2015年度に基礎的財政収支の赤字幅を半減する財政再建目標の達成も難しくなりかねないと懸念を示してきた。
それでも首相の意向は強く、法人税率下げに反対してきた財務省や自民党税制調査会も『反対し続ければ来年4月の消費税率の8%への引き上げも危うくなりかねない』と判断。法人実効税率の主要国並みへの引き下げを『中長期的な課題』として議論することまでは受け入れている。
焦点は実際に法人税率を引き下げる時期。首相は、東日本大震災からの復興財源を確保するために14年度まで3年間法人税額を10%上乗せする『復興特別法人税』を1年前倒しで廃止することを指示した。
その背景には『アベノミクス』効果で来年度以降の税収の上ぶれが予想され、約8000億円と見込まれる減収分を補えるとの判断がある。同税を廃止すれば法人実効税率(東京都の場合)は38・01%から35・64%に2%強下がる。
一方で復興が道半ばの段階で、復興法人税を廃止することには被災地の反発も予想される。消費増税と同時に法人減税に踏み切れば『企業優遇、家計軽視』と受け取られかねないとの懸念も与党内には強い。自民党の高村正彦副総裁は18日の記者会見で『消費税は社会保障のために使うと理解を求めてきた。いきなり数兆円もの実効税率下げというのはなかなか国民の理解を得られない』と語った。『まだ4合目。決着にはほど遠い』。財務省幹部はため息をついた」。
「まだ4合目。決着には程遠い」と財務省幹部は言うが、安倍首相の指示を丸呑みするしかない。指示を拒否すれば「8%引き上げ自体が危うくなる」からである。ちゃぶ台返しである。