2016年6月29日 毎日「クローズアップ2016」に「参院選本社総合調査」「『1人区』野党苦戦」「共闘の効果薄く」

毎日の「クローズアップ2016」に「参院選本社総合調査」「『1人区』野党苦戦」「共闘の効果薄く」が書かれている。

「毎日新聞による総合調査では、憲法改正に前向きな自民、公明両党などの『改憲勢力』が3分の2をうかがう情勢で、参院選後に憲法改正が具体的な政治日程にのぼる可能性が出てきた。民進、共産、社民、生活の4野党は全国で32ある改選数1の『1人区』で候補者を一本化する共闘を展開しているが苦戦しており、想定したほどの効果が出ていない。一方で与党内には陣営の緩みを警戒する声も出ている。

4野党では、一本化による相乗効果や、票を分散させる『第三極』政党が少なくなったことで、1人区で野党系が10議席以上獲得できるとの見方もあった。2010年参院選は当時29の1人区を自民21、民主8と分けたが、当時未結成の生活を除く3野党票を合計すれば、さらに3県で逆転となる。13年参院選は31の1人区で自民が29勝2敗と圧勝したが、4野党票がまとまれば、野党系がさらに2議席を得られる。しかし、今回の調査で野党系が優勢なのは3選挙区だけで、接戦も3選挙区。民進幹部は『この通りなら、共闘がマイナスになった可能性がある』と渋い表情だ。

民共両党はそもそも基本政策が異なる。だが、13年参院選や14年衆院選で野党が候補を乱立させて自民圧勝を許し、『1強多弱』を招いたと反省。今回は、安全保障関連法廃止や安倍政権での憲法改正反対といった『一点共闘』で一本化を実現したが、民進党内では、保守的な支持層が共産党との連携に反発する可能性が懸念されていた。

実際、1人区で唯一、共産公認が一本化候補となった香川選挙区では、民進支持層で共産候補に投票すると答えたのは4割程度。逆の場合も同様で、民進公認が出馬した15の1人区で、共産支持層が民進候補に投票すると答えたのも4~8割とばらつきがある。1人区は保守的な地方が多く、民進関係者は『地方には共産党への拒否感があるかもしれない』と分析する。

民進党の岡田克也代表は23日、相模原市で記者団に『巨大与党に対抗し、みんなが力を合わせる選挙になりつつある』と手応えを語ったが、民進中堅は『選挙後に共産党との共闘は大いに議論になる』と話した。

不調な共闘効果の要因に考えられるのが争点設定だ。4野党幹部は街頭演説で『安倍晋三首相による憲法改正には反対』と強調する。岡田氏は23日も相模原市の街頭演説で『ここで道を誤ると取り返しがつかない。まず言いたいのは3分の2を許さない、ということだ』と訴えた。ただ、特別世論調査で聞いた参院選で最も重視する政策は『年金・医療』が27%で1位。『憲法改正』は13%で2位だが、11%の『アベノミクス』『子育て支援』と肩を並べている。

自民党ベテラン議員は『世の中の人は改憲に興味はない。中国が南シナ海を埋め立て、北朝鮮がミサイルを撃っている時に<安保法廃止、改憲阻止>と訴えても<何を言ってるの?>とあきれられる』と指摘し、『もっと生活密着の論戦をすべきなのに、民進党は戦略を間違った』と語る。

だが、民主党が掲げてきた同一労働同一賃金などの政策は、『1億総活躍』などの『抱き付き』戦術で自民公約に取り込まれてしまった。07年参院選で民主党が掲げた『月額2万6000円の子ども手当』などの思い切った政策は選挙での圧勝に結び付いたが、民主党政権で実現できず猛批判を浴びて現在の苦境につながっており、簡単には差異を示しにくい状況だ」。

毎日の序盤情勢調査でも自民党は単独過半数57議席に届く勢いである。32の1人区で野党共闘が優勢なのは3選挙区のみで、接戦は3選挙区しかなく、与党の29勝3敗の可能性もある。問題は、野党共闘の争点設定の誤りである。有権者が最も重視する政策は、年金・医療27%+アベノミクス11%+子育て支援11%=49%なのに、憲法改正13%を争点にしているからである。野党共闘の戦略ミスである。

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